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髙階理事長エッセイ「One thing at a time」【第3回】

 

 

【第3回】

《よ》 自主、自戒のことば~その(4)
  「正直であれ( Be honest) 」

 毎日、新聞やテレビを見ると、正直でない人が何と多いかに驚かされます。とくに政治家に見られる現象です。自己中心的で品格のない人々です。これは日本に限らず世界中の政治家に言えることかも知れません。 

 随分前、作家の遠藤周作氏が北杜夫氏との対談で書かれた「世間の常識は永田町の非常識、永田町の常識は世間の非常識」という件を思いだしました。その通りだと思いました。わたしは決して政治家になろうと考えたことはありません。品格のない人間になりたくないと思ったからです。

 

 最近、読んだ本で感銘を受けたのは、京セラの会長だった故稲盛和夫氏が書かれた本『稲盛和夫一日一言』(致知出版)です。京セラを立ち上げ、最高の企業経営者として、長年に亘って京セラを牽引して来られた稲盛氏が、経営トップは何時も率先して努力し、真面目に部下と共に歩み、他利の心をもって接することが大切だと書いています。

 自分の権利や、名声のために生きている人は、短期間的には成功するかも知れませんが、決して長続きはしません。学問の場合も同じです。研究や、論文を書くにも、盗用やデータの改ざんなどをする人は、時間が経過すれば、必ず指摘され、今までの名声も地位さえも失うことになります。企業の場合でも同じことが言えます。正直でない人は知的財産所有権、あるいは特許権の問題で糾弾されることでしょう。人は何時も、真面目に生き人を感化させる大きな力を持って頂きたいと思います。

 

《し》 自主、自戒のことば~その(5)
  「記憶を確かに(have accurate memories)」

 新聞を読んでいると呆れるニュースが続出します。特に最近の政治家たちの二枚舌には驚かされます。2022年10月8日の毎日新聞朝刊「余録」の記事は、自民党と旧統一教会との関係をめぐり、前言修正を繰り返すY経済再生担当相のことを取りあげていました。教団との接点が指摘されるたびに、小出しに渋々その事実を認める始末。世間の常識を超えているのは、既に作家の遠藤周作氏が指摘した通り永田町の常識は世間の非常識だと思います。「覚えていない」と言いながら関連団体の会合に「主席したと考えるのが自然」と人ごとのような言い方で認めました。先日辞任されましたが、それは世間では通用しません不正直な発言です。

 H衆議院議長も同じ穴の輩ですね。報道陣の質問には一切答えないで、文書での説明を重ね、記憶がないで過ごそうと考えているのでしょうか。どう考えても政治家たちの思考回路に問題があると思ってしまいます。もし「短期記憶」や「持続記憶」そして「想起記憶」を失ったとすれば、それは立派な認知症です。そんな人に果たして経済再生を任せることができるでしょうか。記憶の確かな人を選ぶべきだったのです。岸田政権の人気が急落してきたのも当然で帰結でしょう。

 前にも述べましたが、わたしは決して政治家には向いていません。医師は良識をもち中立の立場で物を考え、医学とは臨床と研究そして教育という三脚」の上にたつヒューマン・サイエンスを追求する人だからです。

次回に続く

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