Head Symptoms

頭部の症状

あなたの症状は?

頭部の症状

痛みのPQRST

– Provocative, palliative factor (憎悪、軽減因子)

頭部や体位の変換によって、また咳をした場合、きばった場合、あるいは精神的に緊張したり興奮した場合がその原因として考えられます。

– Quality (性質)

痛みの性質がどのようなものであるか、焼けつくような、あるいはずっと持続するようなものであるか、体の深部であるか表面に限局した痛みか、などをいいます。

– Region (部位)

頭部全体であるのか、あるいは前頭部、側頭部、後頭部というふうに場所が限局しているかどうかという点をみます。

– Severity (強度)

軽い痛みか、あるいは非常に強い痛みか、その中間位かといったものをみます。

-Timing (時間)

これは頭痛がどのくらい続いているのか、あるいは1日の内のいつ起こるのか、あるいは何回も繰り返し起こるのかといったことを聞くものです。

 

頭痛に関連した症状として、むかつき、嘔吐、便秘、下痢、多尿、視力障害、明視・複視、大脳症状として頭軽感、手足のしびれ・知覚マヒ、めまい、せんもう状態、睡眠障害などが合併していないかどうかを聞きます。

 

頭痛の原因

1-頭蓋外の原因

筋肉のれん縮による頭痛

  1. 頚部や頭部あるいは両肩の筋肉の持続的なれん縮、つまり「凝り」という現象があると起こってくるものをいいます。

  2. 二次的な筋肉の緊張による頭痛
    頭蓋内にある病巣と関連して、頚部や両肩の筋肉の痛みと共に、急性あるいは慢性に頭痛が起こってくるもので、上記の頚部や肩の凝りによって起こったものと非常によく似ており、鑑別がむずかしい場合もあります。

  3. 血管性の頭痛
    頭蓋内に障害のある際にみられるもので、脳の動脈が部分的に収縮したり、あるいは拡張したりしているために起こってくる頭痛です。ですから、血管性の頭痛というのは、その痛みが間歇的でありズキズキと痛むのが特徴です。そのいくつかを挙げてみます。

  1. 偏頭痛 — 中枢神経系のある部分に一時的な虚血(一般的には脳貧血)が起こり、その結果、1側の頭部に頭痛が起こってくるもので、間歇的に頭痛がみられることが多く、遺伝的な傾向があるようです。

  2. 非典型的偏頭痛 — 体に他の病気があるときや夏季に頭痛が起こりやすいもの、あるいは月曜日になると起こるもの、ウイークエンドに起こるもの、生理前や生理中に起こるものなどがあります。人によって前駆症状がある人とない人があり、また頭痛が1側でだけでなく両側にくることもあり、女性では生理と関係があることが多いものです。

  3. 間歇的に起こる強度の頭痛 — ヒスタミン性の頭痛といわれ、急に血管の拡張が起こると頭痛が起こってくるもので、時には頭痛が極めて強度であるために神経痛をも伴ってくることもあります。しかし持続時間は短く、1側性で日に何回あるいは週に何回というように一定の期間をおいて起こるのが特徴です。1回の頭痛は15分から45分くらい続くことが多いようです。

  4. 高血圧性の頭痛 — 強度の高血圧患者の約半数にみられると考えられています。その原因は、脳の血管のけいれんによる場合と、筋肉のれん縮による場合とがありますが、多くは頸動脈の枝の部分的な拡張によって起こると考えられており、外頸動脈を軽く押さえると取れることがあります。

  5. 発熱による頭痛 — 多くの方がご経験がおありでしょう。その頭痛の場所はまちまちであり、また痛みの程度も軽いものからかなり思いものまであります。これは頭蓋内の動脈の伸展によって起こってくるものと考えられます。

  6. 側頭部の動脈炎による頭痛 — 側頭痛は、1側の側頭部に有痛性の動脈の炎症があり、しばしば視力障害が起こってくる場合があります。この場合の頭痛は非常に強く持続性で、脈打つような痛みであり、必ず専門の先生の診察を受けなければ行けないでしょう。



2-頭蓋内の病巣

脳腫瘍による頭痛 — この痛みは、持続性の場合と、突然に起こり、徐々に増悪し耐えられないほど強くなっていくタイプのものとがあります。最初のうちは数秒間から数時間くらい続く激痛が突然起こり、しだいに頭痛の時間や程度が進んでくる場合が多く、必ず脳神経外科の診察を必要とします。

  1. 脳膿瘍による頭痛 — これは脳腫瘍の場合の頭痛と非常によく似ていますが、耳、副鼻腔、肺などの感染後に起こってくることが特徴的です。感染症のあとに著明な頭痛が起こった場合には、これを疑い、詳しい検査を受ける必要があります。

  2. 硬膜下血腫による頭痛 — 頭蓋骨の内側にある硬膜の下に血液がたまった状態で、頭部の外傷や打撲の後、一定の時間がたってから突然頭痛が起こってくるものをいいます。頭部外傷や打撲の場所や程度により、また血液のたまった量によって症状もさまざまですが、これも脳神経外科で診察が必要です。

  3. 大脳出血による頭痛 — 大脳内にある血管が切れることにより、突然起こってくる頭部全体の頭痛です。約半数の患者さんは、まず頭痛を訴え、その後運動障害や知覚障害、言語障害などが起こってきます。またほとんどの方は嘔吐しますし、頚部の硬直やてんかんのような全身のけいれんを伴ったり、昏睡状態になってしまう場合もあります。これも直ちに専門医の診察が必要です。



3-その他の原因

腰椎穿刺後の頭痛 - 検査の目的で病院で腰椎穿刺を行ったのち2〜3時間から数日して、ザクザクするような非常に強い頭痛が起こってくることがありますが、検査のために脳脊髄液を採取した場合、その量が変化したために起こる一時的な現象ですから心配いりません。

    1. 限局性の頭痛

      1. 副鼻腔炎によるもの — 蓄膿を起こした人がよく経験するものですが、痛みが一定の場所に限局し、ザクザクしたような痛みがあり、副鼻腔炎を起こした場所を押さえると圧痛を感じるものです。これは耳鼻科の治療を受ける必要があります。

      2. 眼精疲労によるもの — これは目の使いすぎによるものと考えられ、多くの場合頭痛は、前頭部あるいは後頭部に限局します。たとえば、テレビの見過ぎや細かい字を見る作業を長時間行ったのちに起こってくるもので、目を休ませてもなかなかとれるものではありません。その原因は、眼球内あるいは眼球外の筋肉のれん縮が持続しているためであり、しばらく冷たいタオルあるいは熱いタオルを目に当てて休んでいると自然に消失します。しかし、その痛みが非常に強い場合は緑内障の疑いがありますから、一度眼科の診察を受けましょう。

      3. 炎症による頭痛 - これは細菌感染による膵臓炎の場合に多く見られ、頭部全体にザクザクした持続性の頭痛が起こり、発熱と頸部の硬直を伴います。進行が早く、時にはもうろう状態や昏睡状態となり、膵臓の炎症の程度によっては非常に危険な場合がありますので、ただちに入院治療を受けなければなりません。

      4. その他

      1. 脳動脈瘤によるもの — まれにみられるものですが、必ず脳神経外科の診察を受ける必要があります。

      2. 脳血管腫によるもの

      3. 脳梗塞によるもの

      4. 脳栓塞によるもの

      5. 出血性疾患によるもの

      6. 血液凝固障害によるもの

 

あなたの症状は?

血圧が上がっているときには、目まいや後頭部痛を感じる。

仮に血圧が平常時120/80mmHg程度であったとしましょう。脳の循環量は、通常心送血量の15%であり、1回の送血量を80mlとしますと12mlが脳に送り込まれていることになります。ところが、精神的な緊張や興奮のために血圧が急に上がった場合、たとえば160/90mmHgになったとすれば、左心室が送り出す血液量もそれに比して増大してくることになります。
脳の血管はわずかな血液の増加も十分に受けとり循環させることができるのですが、ご存じのように私たちの頭は頭蓋骨という硬い骨に囲まれています。その骨の下に大脳の組織があるわけですから、頭蓋骨と組織の間のすき間を血液は流れているわけです。
人間の脳循環というのは、普段は血液の全身に流れ出る量が非常に増加したとしても、実は脳循環はその流量が増えないように自然にコントロールされているのです。しかし、急に血圧が上がったような場合には、このコントロールがうまくいかなくなり、脳血管には余分の血液が流れ込み、そして脳血管はれん縮(けいれん)を起こした状態となり、その結果、頭痛が起こってくると考えられています。時には脳圧が一時的に亢進することもあり、いわゆる頭に血が上ってくる現象のために頭蓋内には一時的に充血が起こってくることになるのです。
頭痛の原因というのは、なかなか正確にどの血管の血流が悪くて起こるということを言いきることはできません。ですから、脳の血管の一部にそのような状態が起こった場合と、脳の血管全体がそのように反応する場合により症状はまちまちとなってくるのです。いずれにせよ脳の循環血液量が増えていることは事実ですから、その場合には安静を保ち、血圧を下げるようにすることが先決でしょう。めまいが起こったり、後頭部が重い場合には、そのまま仕事を続けることは危険と思われます。
もしこの状態が一晩以上続けば必ず主治医にご相談下さい。血圧を下げると同時に、その他の検査も必要となるかもしれません。自己判断で簡単に薬を飲んで、一時的に頭痛を抑えるようなことはなさらないで下さい。

 

首から後頭部にかけて頭痛がある。

この症状は多くの場合、筋肉性の原因によって起こってきた頭痛と考えられます。
つまり、運動不足や長時間一定の位置で座っていたりするための、いわゆる頸部が凝るといった現象なのかもしれません。この場合は頸部の筋肉を柔らかくほぐす必要がありますから、頭を軽く前後左右に曲げたり回転させたりする運動を毎日数分繰り返し、それに加えて全身の軽い体操をすることがよいと思われます。

 

頭全体が鉄のようなもので締めつけられているような感じで痛い。

この症状は、持続している場合は頭蓋内で重大なことが起こっていると考えた方がよいでしょう。というのは、頭全体が鉄のようなもので締めつけられるというのは、頭蓋内圧が大変高くなっていることを意味するからです。
たとえば、もし脳腫瘍なものができて、それがだんだん大きくなってきたとしますと、頭蓋骨の内には大脳・小脳・中脳などがあるのですから、その腫瘍が大きくなるにしたがって、それらの組織が圧迫されることになります。この場合には単なる一時的な頭痛ではなく、脳全体を中のほうから押しのけていくような激しい痛みになります。同じことが、脳動脈の動脈痛あるいは脳血腫(血管から血液が流れ出て、血液のかたまりが脳に出来た状態)の場合でもいえます。
この場合には、直ちに主治医あるいは脳神経外科の診察を受ける必要があります。

 

頭の右半分だけに頭痛がある。

人によっては右あるいは左側だけの頭痛が??何回も繰り返しあり、一種の持病のようになっている人があるのですが、実はこの偏頭痛というものは、脳の中枢神経系にみられる一時的な、そして間歇的な(ある間隔を置いて起こってくる)頭痛であり、非常に遺伝的な性質の強いものです。
一般に全人口の20%に偏頭痛があるといわれていますが、女性のほうが男性よりも多いようです。また興味のあることは、偏頭痛のある人は食物や薬などに対するアレルギーのある人が多いということです。時にはこの頭痛が性的興奮によって起こる場合もあります。
人によっては、偏頭痛の発作が年に数回から数週間間隔で起こる場合もあり、月経周期のある時期に一致して起こってくることもあります。これらに対しては、ホルモンの関係もあることですから、ただ単に頭痛薬をのむというのではなく、婦人科的な問題など医師とよく相談され、治療を受けられるのがよいでしょう。

 

側頭部に拍動痛がある。

これは一時的な現象だと思われますが、もし右あるいは左の側頭部にザクザクするような拍動痛が感じられる場合、これは頭蓋骨の外側の血管が伸展して拍動している場合と、中の血管が伸展して拍動している場合の2通りが考えられますが、単にこめかみの所を押さえても痛いような場合には、頭蓋骨の外側のものであるといえます。
ところが頭の向きを変えても、あるいは横になって休んでも、やはり1側の頭部がザクザクと拍動するように痛い場合には、その側の脳血管の拡張を意味しますので、この場合には脳の血流量を少なくしてやる必要があり、もし血圧が高い場合には血圧降下剤や鎮痛剤を飲めば、脳血管の伸展による頭痛はとれるはずです。しかし、このような頭痛は習慣性になる場合がありますから、必ず主治医に相談されるのがよいでしょう。

 

朝起きようとしても頭が痛くて起きられないときがある。

一般的にいって、頭痛が早朝に起こる場合には、その起こりかたに差があるようですが、朝気持ちよく起きられず頭痛があるといった場合には、前日の疲労が蓄積している場合もありますし、二日酔いなどでは過剰のアルコール分を摂取したために、全身の血管が拡張し、夜間仰臥位(仰向け)で休むと、血液は比重にしたがって下の方、つまり後頭部にたまることになります。そのため後頭部の血管が拡張し、余分の血液が脳の中に流れ込んでくることになるのです。つまり、脳血管の伸展によって脳の組織が圧迫されるために頭痛が起こってくる場合が多いようです。
一般に、よく後頭部の頭痛を訴えてこられる人の中には、どうやら前日の晩酌が過ぎた人が多いようです。この場合には、晩酌の量を減らすことが先決ですし、日常の生活パターンを規則正しいものにする必要があるでしょう。
それから深夜テレビの見すぎによる頭痛もありますが、これは目を使いすぎたために、後頭部にある視神経の中枢刺激による現象と考えられます。いずれにしても、朝頭痛の起こる人の場合には、前日の体調の変化が翌日に持ち越されていることが多いのですから、自分でよくその原因を考えてみられる必要があるでしょう。
どうしても頭痛がとれない場合には、主治医にご相談なさって下さい。

 

飲酒が多いと翌日頭がふらつく。

一般的にいって、頭痛が早朝に起こる場合には、その起こりかたに差があるようですが、朝気持ちよく起きられず頭痛があるといった場合には、前日の疲労が蓄積している場合もありますし、二日酔いなどでは過剰のアルコール分を摂取したために、全身の血管が拡張し、夜間仰臥位(仰向け)で休むと、血液は比重にしたがって下の方、つまり後頭部にたまることになります。そのため後頭部の血管が拡張し、余分の血液が脳の中に流れ込んでくることになるのです。つまり、脳血管の伸展によって脳の組織が圧迫されるために頭痛が起こってくる場合が多いようです。
一般に、よく後頭部の頭痛を訴えてこられる人の中には、どうやら前日の晩酌が過ぎた人が多いようです。この場合には、晩酌の量を減らすことが先決ですし、日常の生活パターンを規則正しいものにする必要があるでしょう。
それから深夜テレビの見すぎによる頭痛もありますが、これは目を使いすぎたために、後頭部にある視神経の中枢刺激による現象と考えられます。いずれにしても、朝頭痛の起こる人の場合には、前日の体調の変化が翌日に持ち越されていることが多いのですから、自分でよくその原因を考えてみられる必要があるでしょう。
どうしても頭痛がとれない場合には、主治医にご相談なさって下さい。

 

トイレに行ったときに、急に足が冷たくなり、頭に血がのぼるようでフーッとなった。

排尿することによって急に血圧が下がり、そのために軽い脳貧血を起こし、時にはしばらくの間意識を失ってしまうほどの人もあり、これを「排尿後失神発作」と呼んでいます。この症例では、ご本人は頭に血がのぼったようだと言っておられるのですが、実は迷走神経の刺激によって血圧が下がり脳貧血を起こしているのですね。しかしこれは決して異常ではありません。予防としては、あまりトイレに行くことを我慢しないことと、ゆっくり排尿することがもっともよいことです。

 

頭の後ろがフーッとした感じになり倒れそうになる。

これも一時的な軽い脳貧血ということです。一時的に血圧が下がった場合にこのようなことが起こることがあり、女性では生理の前後などにこの症状の見られる人が多いようです。これは脳血管の血液の流れが一時的に減少するためであって、すぐに元に戻りますから心配ありません。

 

うつむいて頭を上げるときフーッとなる。

人間は、体の位置や向きを変えるときには、血液の流れが一時に減ったり増えたりすることがあるのです。うつむいているときには頭には血液がたまっているわけですが、急に頭を上げると、その血液は頭から下の方に流れることになり、一時的に脳貧血を起こすために頭から血の気が引いていくような気持ち悪さになることがあります。
またこれとは別に、中耳の奥にある三半規管という体の平衡感覚をつかさどっている器官がありますが、何らかの原因により平衡の調節が上手くいかない場合、フーッとなったり目まいを起こしたりすることがあります。
もしこのような症状が何回も繰り返す場合は、主治医に相談される必要がありますが、概してこのような症状は一時的なものである場合が多いようです。

 

寒い日にはフーッとなることがある。

冬の寒い朝、家の中から外に出ると、今まで暖かい部屋にいたために拡張していた皮膚の血管が、急に寒さの刺激によって収縮をするわけです。この場合、皮膚の血管と脳の血管とのバランスはちょうど反対であるということをご記憶ください。つまり、皮膚の血管が収縮すれば、脳の血管は拡張しているということになりますね。ところで、人によっては寒さや暑さに対して非常に敏感な方があり、このような人の場合には、わずかの刺激でもそれを敏感に体が感じとり、血管が収縮したり、あるいは拡張したりすることがあるのです。多くの場合、頭がフーッとなるというのは脳貧血の状態をいうわけで、この人の場合には、脳血管の拡張よりも腹部の血管の拡張のほうが大きいため、腹部の腸間膜や腸の血管のほうに血液が流れてしまうため、脳には十分な血液が流れてこなくなり、フーッとなるわけです。

 

!TIPS!胃腸の調子と脳貧血

胃腸の調子が正常なときには、おそらく脳貧血は起こりません。ところが胃腸の調子が悪いときには、急に立ち上がったり体位を変えたりすると、頭の血がスーッと引くような感じを感じることがあります。これは胃腸の状態が悪いために、早く元の状態に戻そうとして、体が余分に血液を胃腸の方に送るようにするためと考えられます。その時体を動かすと。胃腸の方が優先され、頭の方には充分な血液が送られてこないからです。心臓から1日に送り出される血液量は一定なのですから、その血液量を全身の組織が均等に分配しなければならないのです。
ですから体のどこかに異常が起こると、そこにたくさんの血液が流れ込むことになり、他の部分は後回しということになるのです。
これはちょうど私たちの家庭の経済状態においても同じ事が言えます。何か思いがけないことで急に出費がかさむと、毎日のやりくりが苦しくなるということとにたところがあります。

 

車から降りたときに、目の前がスーッと暗くなり、気が遠くなりそうなことがある。

この症状は今までの症状とは少し違うものです。車から降りるという動作は、椅子に座っていた状態から立位の歩行という状態に変わったということになります。これは坐っている状態では、心臓はそれほどたくさんの血液を全身に送り出す必要はありませんが、立ち上がって歩く状態になりますと、心臓は急いでたくさんの血液を送り出さなければなりません。一般的にいって、私たちが座っている状態から急に立ち上がると、全身の血液のうち500〜700mlが下肢の方に流れてしまうことになるのです。しかし普通の人の場合には、すぐに(1〜2回の拍動で)その不足分を補うだけ??の余力を持っていますが、もし心臓に何らかの障害(心臓弁膜症や心筋の病気、慢性うっ血性心不全など)があり、心臓の収縮力が低下しているような状態では、心臓は体位の変換に即して直ちに血液を送り出す余力がないということになります。その場合には、頭の方に流れる血液が非常に少なくなり、この方のように脳貧血の症状が現れるわけです。ですから、このような症状がたびたび現れる場合は心臓性の原因が考えられ、私たちはこれを「心臓失神(cardiac syncope)」と呼んでおり、心臓の治療をまずしなければなりません。

 

 

目の症状

症状と原因

目の症状は大きく分けると次の3つに分けられると思います。

  1. 大脳におけるわずかな変化が目に現れる場合。
    「目は心の窓」とはよくいったもので、実は目というものは心、すなわち大脳の働きである精神の現れと考えられるので、大脳におけるわずかな変化が目に現れてくることがあるのです。
    これは、ほとんどの場合、脳への血液の流れが増加したり低下した場合に、眼底動脈にも影響が及び変化が現れてくるのもので、これが第1番目の症状ということが言えます。
  2. 眼球それ自身の症状
    ヒトの目は、カメラによく例えられますが、このカメラのレンズにあたるのが水晶体と呼ばれる凸レンズ形の透明体で、その後ろにある網膜がカメラのフィルムに相当します。そして絞りに相当するのが虹彩という組織で、光の強さを調節するわけです。
    眼球は直径3センチくらいの球形をしており、網膜からレンズの間には硝子体と呼ばれる液体状の成分があり、これが目の色々な組織を支える役割をしています。この硝子体と呼ばれる部分は、体の他の部分の循環から全く切り離されており、この部分の栄養はわずかな組織液が出入りすることによってまかなわれています。
    これらの眼球自身のそれぞれの組織に障害が起こったときに目の症状が起こってくるわけで、これは眼科の専門医が主として診察する部分といえます。
  3. 眼球の筋肉の障害
    眼球を支え、そしてまた左右、上下、斜めの動作、あるいはまぶたの開閉をする働きをする筋肉がなければ、目の動きをスムーズにすることはできません、目にはこのような運動をつかさどって、絶えず左右の2つの目でひとつの物が見えるように調節している(これを両眼単視といいます)装置が具備されているわけで、もしこれらの筋肉組織などに障害が起こりますと、一時的な場合には眼球振とうといって、眼球が小刻みに上下左右に動くため、両眼単視が出来なくなってしまうことがあります。また生まれつき(多くの場合は遺伝ですが)わずかの斜視が見られる場合は、左右あるいは上下の眼球の筋肉の1本あるいは2本が長すぎるか短すぎるための現象なのです。
    このように、眼球の筋肉の障害によるものが、第3番目の症状として挙げられます。

以上の3つの部分のいずれかに異常が発生した場合に、目の症状が現れてくるということになります。

 

あなたの症状は?

目の前が真っ暗になる

電車の中で、目の前が真っ暗になり倒れそうになった。
・うつむいたときに目まいがする。
・ときどき立ちくらみがする。
・階段を上がるとき、一瞬目がかすむことがある。
・就寝時に必ず2〜3回目の前が真っ暗になる。

目の前が真っ暗になるとか立ちくらみがする、あるいは目がかすむなどといった症状は、全て脳の血管への血液の流れが低下した結果起こってくる症状で、脳血管の一部分に眼底の血管があるわけですから、いわゆる脳貧血が起こると必ずこのような症状が現れてくることになります。

なぜこのような症状が起こるのでしょうか。

人間は誰でも一定の位置や姿勢を保っている場合は、その状態に合うように心臓は働き、全身循環量を一定に保っているわけです。しかし、もし座っている状態から急に立ち上がり、されに歩く??という動作に移りますと、全身をまわって心臓に還ってくるはずの静脈血が、立ち上がるという動作のために一瞬腹部や足の方に下がってしまうことになります。人によって多少の差はありますが、500〜700mlの血液が、上肢から下肢に動きます。普通はこのような状態に対処して、すぐに心臓は収縮力と心拍数を増して、血液を頭や手足などの心臓よりも上の部分に勢いよく送り出すことになります。この反応は、首の動脈(頸動脈)の内頸動脈と外頸動脈と呼ばれる2本の動脈の分かれ目のところにある「圧受容体」という組織によって調節されています。この圧受容体は、血圧を敏感に感じとって、圧が上昇すれば心臓の収縮力や心拍数を押さえ、逆にこの部分を通る血液の圧が低い場合には、心臓の収縮力を強めることを瞬間的に心臓に知らせるシグナルの役目をする部分であるといえます。この圧受容体の働きによって、健康な人では頭部への循環が一定に保たれるようになっているのです。これは一種の安全弁と考えることが出来ます。
こうして考えてみると、立ちくらみや目まいなどといった症状は、実はこの圧受容体の調節機構が瞬間的に敏感に反応しない場合に起こってくるようです。この症状は一般に婦人や成長期の子供、あるいは老人などに多く見られ、青年や中年の男性には比較的少ないもののようです。

 

目がクシャクシャした感じの時は血圧が上がっている。

おそらくこの方は経験的に、血圧の上昇をいうことを、眼球に流れ込んでくる血液の量が増加したときに「目がクシャクシャした感じ」として受け止めておられるのでしょう。人によって訴え方はそれぞれ違いがあり、ある人では眼球の痛みとして感じられるかもしれません。そのような場合には、私たち医師はその症状をよくうかがった上で、これが直接血圧上昇と関連があるのかどうかということを判断しているのです。
もしこのような症状がしばしば起こる場合には、日頃からきちんと血圧を調節しておく必要があります。

 

目まいが起こるときに目の前が真っ暗になることがあるが、以前は真っ赤になっていたので、気になる。

これは非常に興味のある症状です。これはひとつの現象が別の型で現れているということ、つまり目まいが起こるとき、以前は真っ赤であったものが現在は真っ暗であるというこどです。目まいについてはすでに説明しましたが、脳の動脈への血液の流れが低下したために起こってくるもので、多くは中年以上の人にみられる脳動脈硬化症の部分症状だと言えます。この場合、血管の太さ、いいかえると血管の内径がある程度以下に狭くなってきた場合に、その狭くなった部分より先の部分は逆に拡がるという性質を持っています。医学的には「狭窄後部拡大」と呼びますが、この場合には、狭くなった部分より先の部分でも血液の流れはある程度保たれていると考えて結構です。しかしこの狭い部分が5mmあるいは1cmと長い場合には、当然その先への血流は非常に少なくなるということが考えられます。
血管が狭められるということは、ちょうど道路の一部分に故障車が止まっている、あるいは工事をしているといったようなもので、この区間の短い場合にはそれほど交通量も減少せず比較的スムーズに車も通れますが、その障害部分が長い場合にはそれより手前の部分に大変は交通渋滞が起こり、血管の場合にはうっ血が起こるということになります。
このような変化によって部分的な狭窄を起こしたところが短い区間であった場合には、目の前が真っ赤になるという症状が現れてくるのです。そして狭窄の部分が長い場合には目の前が真っ暗になるといった症状が現れてくると考えられます。しかしこの症状は、血管それ自体が狭窄を起こしてしまう場合と、血管のけいれんによって起こる場合とがありますから、必ずしも永久的な変化と考えることは出来ません。
私たちは多くの場合、このような人に対しては、血管を拡張させる薬や血管のけいれんを取るような薬を処方し、症状を改善させるようにしています。もし皆さんの中にこのような症状のある方がおられましたら、必ず専門医の診察を受けられるようおすすめします。

 

夜間に電気毛布をかけるため、まぶたが腫れる。

冬の寒い季節になると、ときどき聞かれる症状ですが、電気毛布というのは、短時間使用した場合には非常に暖かくて快適なものですが、ひとつ忘れてはならないことがあります。人間の体のまわりには夏と冬では衣服がそれぞれ異なり、皮膚の表面には各人特有の衣服気候というものを作っているのです。衣服気候とは、体表面の温度と湿度のことをいうのです。
お風呂から上がった後そのまま扇風機にかかって風邪をひいてしまうことがありますね。これは風呂にはいることによって体温が上昇し、この体表面の温度がどんどん室内に放散されていることになります。このとき扇風機をかけますと、同時に体表面の湿度も奪われてしまうことになります。つまりこれは体表面の気候が扇風機をかけるということで大きく変わってしまったといえます。ふつうの場合は、風呂から上がってある程度体が冷えるとシャツを1枚でも着ておいた方がカゼもひかず体のためにはよいわけです。これはつまり皮膚の表面にある温度と湿度がシャツを着ることにより逃げなくなるため、体のまわりに衣服によって作られたその人自身の気候状態が出来たということになります。
では電気毛布を使う場合を考えてみましょう。電気毛布の場合は熱は乾熱で湿度はほとんどありません。ですから、体内は電気毛布によって熱せられ、皮膚の表面からは目に見えない汗が出ていくことになります。体の表面には一定の湿度が保たれていなければならないにもかかわらず、電気毛布の場合はその湿度もどんどん下げてしまうわけです。夜間の睡眠というのは短くても数時間、平均7〜8時間眠っているわけですから、その間加熱している電気毛布は体表面の湿度を下げるばかりでなく、体内の水分をどんどん奪ってしまいます。この事は皆さんが、熱いコタツに入った場合と同じ事が起こっていると考えてもよいわけで、皮膚の表面の血管は拡張します。そして特に組織の弱い部分(特にまぶた)には充血が起こってきます。その結果、その組織の充血と腫れが出てくると考えていただければよいでしょう。
この症状は電気毛布を肩までかけて寝たために起こった症状だと思います。このように体内の脱水を起こさないためには、電気毛布は腰から下にだけ使うのがよいでしょう。それから温度は低めに調節してください。

 

他の症状

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