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髙階理事長エッセイ「One thing at a time」【第2回】

 

 

【第2回】

 

お》 自主、自戒のことば~その(2)
 「 忍耐強くあれ(Be patient)」

 誰でも病気なると「患者」になります。今まで病気に罹ったこのない人ほど不安に駆られ、医師の診断や治療に対して「この病気はどれ位で治るだろうか?この治療で良いだろうか?」という気持ちが強くなります。医師と患者との信頼関係は初対面で生まれるものではありません。

 医師は謙虚に患者の話を聴き、丁寧に診察することで周到な医師としての診察法に患者「この先生はこんな丁寧に自分を診察してくれるのだ」と思う事で、自然と医師への信頼感が生まれてきます。

 「患者を英語ではPatient」と呼びますが、誰でも病気になると、精神的にも肉体的にもその「病気に耐え」なければならないからです。

 2004年4月、私は健康診断で「前立腺ガンと診断されました。そして骨転移の可能性がある」。主治医はすぐにその診断名を告げませんでした。彼がわたしの教え子だったから遠慮もあったのでしょう。

 当時、わたしの長男は東京のE病院放射線診断部にいました。すぐに彼に相談し、もう一度確認のため上京し、骨シンチを撮ってもらいました。その結果は「前立腺ガンで13か所に骨転移がある」と診断ましたが、前立腺ガンの第4期にある父親を見て、複雑な気持ちだったに違いありません。予後は3年半だと言われましたが、その後3年間、毎日1時間歩き、抗がん薬治療と、2か月間、放射線集中治療を行い、「ガンなどに負けてたまるか」 という気持ちで第一の難関を乗り超えました。

 

《に》 自主、自戒のことば~その(3)
 「 思慮深くあれ(Be thoughtful)」

 2007年4月から6月まで京都にあるT病院で放射線治療を受けました。毎日午前中の診察が終わってから、直ぐに新幹線で京都に通いました。最終的に骨転移も消えた時、第一難関を乗り切ったと思いました。

 しかし、3年間に亘る治療が終わるまで、私は家族以外の誰にも話しませんでした。毎日、普段どうりに診療を続け、わたしを頼って来られる患者さんに不安な身持ちを抱かせてはならないと思ったからです。処方箋薬局にも私の病気のことは知らせませんでした。それがわたしが取った選択でした。2011年に書いた『未来への軌跡』という本の中で、初めてわたしの病気の事を知り驚いた人も少なくありません。ここまでが、わたしが前立腺ガンを乗り切ったという話です。

 

 物事は予想もしない事態に直面した際、どう行動するか、それを前向きに解決しようと努力するか、諦めてしまうかによって人生は大きく変わります。その選択は人によって様々です。わたしは前向きに生きて行こうと考えました。人間は一生現役だと自分に言い聞かせたのもその時です。

  第一に物事は冷静に判断し思慮深くあること。

  第二に物事は積極的に考え、前向きに生きること。

  第三に消極的な姿勢をとれは、物事は達成できない。

  第四に人生は生涯現役だと自覚すること。

次回に続く

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