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髙階理事長エッセイ「One thing at a time」【第6回】

 

 

【第6回】

 

《や》 自主、自戒のことば~その(10)
  「 創造性を持て (be creative) 」

 これはわたしが一番好きな言葉です。本田技研の創業者/本田宗一郎氏の名言集に数々の言葉がありますが、その代表的なものに

(1)新しい発想を得ようと思うなら、まず誰かに話を聞け。

  • (2)失敗が人間を成長させると、私は考えている。失敗のない人なんて、本当に気の毒に思う。
    (3) 思想さえしっかりしていれば,技術開発そのものはそう難しいものではない。技術はあくまでも末端のことであり、思想こそが技術を生む母体だ。
  •  
  •  正にその通りだと思います。私が医師になってから今までに、(1)心臓聴診シミュレータ、(2)心臓病患者シミュレータ、(3)可伸展型ダイアフラム聴診器などを開発してきましたが、何れも医師や看護師を始め医療関係者の教育のためにと考え、その夢を実現させようとしてきたから実現できたのだと思います。
  •  最初のうちは「工学部出身でもないのに出来るはずがない」と揶揄されたこともありましたが、わたしは信念を持って開発に挑みました。勿論失敗の連続でしたが、遂に心臓病患者シミュレータを共同開発して以来、多くの医学教育器機の開発に挑戦し、その作業は一生続くこでしょう。

《こ》 自戒、自守のことば~その(11)
  「 自分を戒め、その言葉を守れ(behave yourself) 」

 これは元東大寺別当、華厳宗管長  清水公照  師の言葉です。嘗てわたしの患者さんとして受診しておられたN建築設計会社部長S氏の叔父様が、清水公照管長だったのです。

 「貴方がお世話になっている先生にこの額を差しあげてください。これはわたし自身の自戒自守のことばです」といって手渡されたのが、この額です。

 わたしが説明するまでもなく、東大寺の管長という高僧が、自分に対して何時も言い聞かせておられる言葉に、思わずそうだと思いでした。人生には山あり、谷ありです。良い時もあれば、悪い時もあります。その度に一喜一憂するのではなく、心の冷静を保ち、物事を良く考え、相手の気持ちを尊重して対応し、自らの行いを正すことが大切です。どんな職業の要職にあろうとも、絶えず自らの行いを振り返り、努力すれば立派な人間として社会に貢献できるでしょう。

 

次回に続く

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