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S1・S2がどうして起こるのかと、その臨床的意義

メディカル・エッセイ 

S1・S2がどうして起こるのかと、その臨床的意義

                  ジェックス理事長  髙階經和

はじめに:

 この前のエッセイで「S3とS4とは、その臨床的意義」について書いたのですが、意外に好評で「なぜS1とS2についても書いてくれないか?」と意見が寄せられました。考えて見ればそうですね。S1・ S2の事も説明しないでS3・S4の話から始めるのは、或る程度の専門的知識がないといけませんね。そこで、皆さんに改めて(I音とII音)S1・S2の事についておはなししましょう。

 


 S1は一時的に僧房弁・三尖弁が閉鎖する時相(タイミング)に一致して起こる音で、大動脈弁・肺動脈弁が閉鎖する時相(タイミング)に一致して起こる音です。赤い矢印がS1とS2を表しています。一般に皆さんの耳に聴こえる「DA ta」という音はS1が僧帽弁と三尖弁の閉鎖の時相に殆ど一致して起こってくる音で心尖部に近いところで聴こえる音「da TA」と逆に2番目に聴こえる音がS2です。上のイラスト見ながら説明していきますと、S1は両心室の圧が両心房の圧を上回った瞬間に僧帽弁と三尖弁が閉じるために弁が閉鎖し振動を発します。

 そしてS2は、左心室が収縮し血液が左心室から大動脈へ、右心室の収縮で右心室の血液は肺動脈へ送りだされます。両心室が収縮を止めて弛緩し、大動脈圧と肺動脈圧内の圧が、左心室と右心室の内圧を上回った瞬間に、大動脈と肺動脈に出て行ったそれぞれの血液の柱が、大動脈弁と肺動脈弁が閉鎖して「da TA」という振動音を発します。この振動が胸壁に伝わると、軽く掌を大動脈弁部位におけば触れることがあります。



 S1・S2の強度(音の大きさ)は言い換えれば、血液の塊(血柱)が各弁の閉鎖時に弁を打つ強度によって変わってくるのです。健康な皆さんは自分で100メートル走る前に聴いた心音(S1・S2)と、100メートル走った後では、脈拍数は1分間120回以上になっていますし、血圧も少し上がるでしょう。そして何といってもS1・S2の音量は一気に高まってDA・TA・DA・TA・DA・TAと大きく聴こえます。もし血液中のアドレナリンの量が増えた状態の運動、興奮、発熱、甲状腺機能亢進では、当然S1・S2は亢進するのです。

 逆に心筋症の場合は心筋収縮力が低下し、甲状腺機能低下や、心弁膜症では僧帽弁閉鎖不全、重症の大動脈弁閉鎖不全では、S1は殆ど聴かれなくなるか、全く聴かれなくなくなってしまいます。このS1・S2と心電図はとても密接な関係にあります。下図のように正常PR間隔(0.20sec)ですが、心音はDA TAの関係にありますが、高アドレナリン状態では、脈拍も速くS1・S2も大きくなり、そしてS3を伴ってきます。S1・S2の周波数は80Hz前後です。


 早口ことばで「ットク ットク ットク ットクと覚えてください。

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