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Meducationってどういう意味?(中国語訳併記)

Meducationってどういう意味?

 皆さん、この言葉を聞いた事はありますか?この言葉は約50年前にアメリカ心臓学会が聴診訓練用のカッセトテープや、心電図スライド、心エコー図スライドをはじめ,VTRや胸部レントゲンスライドなど、会員の自己研修用に「アメリカ心臓学会からの教育道具と資源」(Educational Tools and Resources from ACC=American College of Cardiology)として販売されていましたが、これらの教育資料を総称して“Meducation”=(medical education)と呼んでいたと記憶しています。

 

  1971年9月、首都ワシントン近郊のベセスダ市(Bethesda)にACC(アメリカ心臓学会)が、世界に誇る最高のクラスルームとして「ハート・ハウス」(Heart House) を完成させました。同年10月、「心臓の聴診」と題する柿落しのセミナーが開催されました。私はそのセミナーに日本から唯一人参加しました。

 

  セミナーを主宰したのは、当時アメリカでも有名な聴診の大家であるジョージタウン大学の「ハーヴェイ教授」(Prof. Proctor Harvey)でした。3日間にわたる研修の間、ハーヴェイ先生のエネルギーと教育に対する真摯な態度に、私は深い感銘を受けましたが、後に先生はACCから”Master Teacher”の称号を授与されました。

相手を魅了する語り口に、抜群の「心音疑似法」(Cardiophonetics)を駆使した講義を聞き、日本の大学教授に真似のできない洗練された教育者の姿を見ました。

 

  「ドクター・タカシナ、遠いところ良く来てくれましたね」と優しく声をかけて頂き、私がチュレーン大学のバーチ教授のところで4年間、クリニカル・フェローとして働いていたことを話すと「そうだったのですか。ジョージ(Prof. G. Burchのファースト・ネーム) は素晴らしい人ですよ。貴方は良い経験をされましたね」と話され、それ以来、何回か学会でお目に掛かった際も良く私の事を覚えておられ、ある会でお目に掛かった時にはネクタイをプレゼントされた事があります。

 ハーヴェイ教授そのものが「教育のノウハウを知り尽くした人であり、そして教育資源そのものである」(Educational Tools and Resources)と感じたのです。

 

 その時セミナー会場を沸かせたのは、他ならぬ心臓病患者シミュレータ「ハーヴェイ君(弟子のマイアミ大学のゴードン教授らが開発した等身大のマネキン)」!  当時、アナログ技術の結晶であり、心臓病患者の身体所見を忠実に再現してくれる「疲れを知らぬ患者」と言われました。この時の感激が、後に私が日本で独自に心臓病患者シミュレータ「イチロー」を開発するエネルギーに替わっていったのです。

 

 時代は変わり、いつの間にかアナログ時代に使われていた “Meducation”という言葉は影を潜めましたが、With Corona や After Corona の時代となり世界の教育法が変わろうとしている今日、Online Seminar やOnline Conference、そしてOnline Patient Simulation などの全てを総称して、私はMeducation が一番ふさわしい言葉だと思いました。

ジェックス理事長 髙階經和

中国語訳はこちら

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