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症例99 前失神発作を繰り返す 74歳男性

男性/74歳

問題

【主訴】前失神
【現病歴】 2015年はじめから血圧測定時の脈拍数が40台となったためかかりつけ医に相談し当科を紹介され受診した。
2015年3月のホルター心電図で心拍数は夜間45-54/分、昼間46-71/分、平均55/分で洞性徐脈と診断され経過観察されていた。
その後、2-3秒間頭がふらっとする発作が起こるようになった。失神したことはないが徐々に頻度が増加し3-5/日出現するようになってきた。動悸を感じることはない。
【既往歴】DM・うつ・無症候性脳梗塞既往
【内服】テトラミド(4環形抗うつ薬)、デプロメール(SSRI)、コンスタン、レンドルミン、酸化マグネシウム
それぞれ別の外来受診日に記録した心電図を示す。(図1,2) 前失神の原因となる病態は何か?

 

【図1】

心電図1

【図2】

心電図2

解答と解説

心房細動停止時の洞停止によるアダムス-ストークス発作
(洞不全症候群と発作性心房細動による徐脈頻脈症候群)
 
症状悪化後の2015年10月のホルター心電図では夜間46-51/分、昼間45-75/分、平均56/分、1-2分持続する心房細動を認め、心房細動停止時に最長2.4秒の心静止を伴う洞停止を認めた(このときは無症状)。 症状が心静止に伴うことを確認するために、植え込み型ループレコーダ(ILR)による精査を行うこととし、2015年12月に左前胸部にILR植え込み術を行った(図3)。 その後、ILRの記録を解析したところ、前失神症状の発作の際に8.4秒の心静止をを認め(図4)、徐脈頻脈症候群(心房細動の停止後の洞停止)によるアダムス・ストークス発作と診断した。 2016年1月にペースメーカー植え込み術を施行し、前失神発作は消失した。 心房細動の発作停止時にはoverdrive suppressionにより洞停止が惹起されることが知られている。 心房細動停止時に10秒近い洞停止を認めた患者に対して、心房細動に対する不整脈アブレーション治療で洞停止が認められなくなる症例も報告されているが、本症例のように、洞調律が維持されている際にも洞性徐脈や洞停止を認める症例では、ペースメーカー植え込み術の適応となる。
 

【図3 植え込み型ループレコーダ植え込み術後の胸部X線写真】

図3 植え込み型ループレコーダ植え込み術後の胸部X線写真

 

【図4 前失神発作時の植え込み型ループレコーダ記録】
心房細動停止時に症状を伴って8.4秒の心静止を認める。

図4 前失神発作時の植え込み型ループレコーダ記録

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