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心電図データベース

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症例84 前胸部痛を訴え、救急車にて来院

男性/76歳

問題

その際に記録された心電図(A)である。参考までに以前に記録された心電図(B)を下段に提示する。
どのような病態が予想されるでしょうか。

 

来院時の心電図(A)

76歳男性 来院時の心電図

以前の心電図(B)

76歳男性 過去の心電図

解答と解説

【解答】
陰性U波 in V3-6、冠動脈疾患、前下行枝病変
 
以前の心電図(B)は、心室性期外収縮を一心拍認めるが、その他に特に異常はない。胸部誘導におけるU波は小さく上向きである。
一方、問題の心電図(A)では、胸部誘導(V2−5)で陰性U波(矢印)を認めており、これは明らかに異常である。
 

問題の心電図(A)(再掲)

来院時の心電図(再掲)

 陰性U波は心筋虚血、特に左前下行枝病変、さらに大動脈弁逆流症における左室容量負荷や高血圧に伴い出現すると言われている。この患者では、狭心症に伴い出現していること、さらにⅠ、aVL誘導でST低下、T波の逆転を認め、さらにV6でST波の平低化を認めることから、左前下行枝に加え、対角枝、回旋枝を含む二枝病変が考えられる。
ここで、この患者のさらに過去の心電図(C)をみると、Ⅱ、Ⅲ、aVF、V3-6で典型的な水平型のST低下を認めており、左室前壁に加え、下壁の虚血もみられることから右冠動脈を含む三枝病変が疑われた。(A)の心電図の20日後に記録された心電図(D)では、QRS波は幅広くなり、両心室内での瀰漫性の伝導障害と左軸偏位を認めており、心室の広範な虚血が考えられる。後に施行された冠動脈造影検査にて三枝病変が確認された。心電図にて虚血の有無を診断するには、一回の心電図だけでは判断を誤ることがある。
 この症例のように、過去の心電図と比較し、心電図にみられる様々な所見を総合的に判断することが大切である。
 

(さらに過去の心電図(C)(心電図(B)以前の記録)

過去の心電図(C)

心電図(D)(問題の心電図(A)の20日後に記録)

心電図(D)

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