心電図データベース
問題
解答と解説
解説:
この心電図は左室高電位に加え、左室誘導(I、II、aVL、V4-6)でsagging型ST低下とT波の逆転を認めており、典型的な左室圧負荷の心電図である。
この患者は、術前の診察にて大動脈弁狭窄症と診断された。次に、手術所見をしめす。
高度に石灰化したニ尖弁に対して大動脈弁置換術(ATS弁)がおこなわれた。
術後の心エコーで、大動脈弁口流速は6.5m/s→術後2.1m/sと低下、最大圧較差は168mmHg→術後18mmHgと著明に減少。弁狭窄は消失し、左室求心性肥大の軽減(IVC/PWT13/12→12/9mm)もみられた。術前に認めた労作時の呼吸苦は消失し坂道歩行も楽にできるようになっている。
術前と術後8ヶ月経過の心電図を対比して示す。肢誘導、胸部誘導左側が術前、右側が術後である。
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心電図の対比術前と術後8ヶ月経過
術後、I、II、aVL、V3、V4、V5、V6で認められたST-T異常は消失し、I、aVL、V5、V6で軽度のT波陰性化が残るのみとなっている(RV6+SV1=3.57mV→2.58mV)。左室負荷消失のためと考えられる。