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心電図データベース

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症例23 肝硬変・逆流性食道炎治療中の心電図異常

男性/49歳

問題

肝硬変・逆流性食道炎治療中。健診にて心電図異常を指摘された。

心電図

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解答と解説

心電図上完全右脚ブロックとQT延長を認める。QT延長は心電図上測定されるQT時間を心拍数で補正したQTc時間によって判定される。
補正式としてはBazettの補正式QTc = QT/√RRとFridericiaの補正式QTc = QT/3√RR(いずれも単位は秒)が確立しているが、Bazett補正式がよく用いられる。Bazett補正式によるQTcの正常値は男性0.44秒以下、女性0.46秒以下である。
本症例ではQT時間0.44秒、RR0.84秒からQTcは0.48秒と求められ、QT延長と判定できる。
肝硬変ではその半数にQT延長が認められるとされ(1, 2)、肝炎患者より0.04秒ほどの延長が報告されている(1)
肝硬変に伴う低K血症によるとの説明がされるが、低K血症ではU波の増高のため真のQT延長とは言えない場合があり、実際のメカニズムは不明である。ちなみに本症例では血清K値は正常だった。
本例には逆流性食道炎に対しガスター錠が処方されていたが、ガスターの添付文書には「重大な副作用」としてQT延長が記載され、投与後の状態観察や異常時の投与中止にも言及されている。
本例ではただちに消化器科の主治医にガスター中止の連絡を取った。
 
1. Bernardi M, Calandra S, Colantoni A, Trevisani F, Raimondo ML, Sica G, Schepis F, Mandini M, Simoni P, Contin M, Raimondo G. Q-T interval prolongation in cirrhosis: prevalence, relationship with severity, and etiology of the disease and possible pathogenetic factors. Hepatology. 1998 Jan;27(1):28-34. PubMed PMID: 9425913.
 
2. Genovesi S, Prata Pizzala DM, Pozzi M, Ratti L, Milanese M, Pieruzzi F, Vincenti A, Stella A, Mancia G, Stramba-Badiale M. QT interval prolongation and decreased heart rate variability in cirrhotic patients: relevance of hepatic venous pressure gradient and serum calcium. Clin Sci (Lond). 2009 May 14;116(12):851-9. PubMed PMID: 19076059.

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