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心電図データベース

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症例105 心室頻拍を疑われて紹介された一例

男性 60代

問題

【主訴】動悸発作

【現病歴】
数年前から数秒から数分間続く動悸を自覚していたが、数ヶ月に一回程度であったため、医療機関を受診せず、放置していた。数ヶ月前から動悸発作頻度が上昇し、ほぼ毎日自覚するようになった。
近医を受診したところ、不整脈を疑われ、ホルター心電図が記録された。これまで失神の既往はない。
図に示すごとく、Wide QRS tachycardia(幅広の頻拍)が記録され、心室頻拍の疑いにて当科を紹介された。図は2チャンネルの心電図同時記録であり、上段がCM5、下段がNASA誘導(それぞれV5とV1に近い誘導)である。

 

【現病歴】高血圧と糖尿病あり

 

【ヒント】
図Aの頻拍は心室頻拍か? Wide QRSの前に認められる調律異常は何か?
図Bの所見と組み合わせることにより、より正確な診断ができないか?

 

【図A】

心電図

【図B】

心電図

解答

【心電図解説】
Wide QRS tachycardiaを認めた場合は心室頻拍と思い込まず、「上室性頻拍の変更ではないか?」と疑うことが重要である。図AのWide QRS tachycardiaの前には心房粗動様の心房波形が認められ、変行伝導の可能性がある。ただし、頻拍中は心房波形が確認できず、PとQRS波形との関連は不明であるため、確実な診断はこの心電図だけでは不可能である。そこで図Bの所見が重要になる。ホルター記録時の洞調律中に頻回の心房期外収縮(▼)を認めており、変行伝導を伴う際(中央の▼)にWide QRS tachycardiaとほぼ同じQRS波形を呈している。これで合わせ技一本。図Aの QRS tachycardia は心房粗動の変行伝導であると診断できる。
図BにおいてQRSに先行する心房期外収縮のP波はT波の上に重なっており、認識がやや困難であるが、期外収縮のない時のT波形と比較するとその形態に変化を認めることで隠れたP波を見つけることができる。
本症例では他の時間帯でのホルター心電図記録に数分間の心房細動も認められ、CHADS2スコアが2点であったため、抗凝固療法が開始された。動悸についてはβ遮断薬を開始し、その後、カテーテルアブレーションにより根治された。
 

【図A】

心電図①

【図B】

心電図②

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