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髙階理事長エッセイ「One thing at a time」【第12回】

 

 

【第12回】

 

 

《か》 自主自戒のことば~その(21)
「  注意を払う(keep your attention)  」

  2022年10月28日のことです。偶々、NHKの目玉番組「チコチャンに叱られる」を見ていました。その中で「なんで電車に乗ると眠くなるの?という出題がありました。
 ゲストの方は答えが間違っていたため「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叱られました。ところが司会者の岡村さんが正解でした。例によって「つまんねー奴だなー」とチコチャンに言われました。

 それは電車の振動音は人が胎児の時、母親の胎内で聴いていた心臓の音に類似しているからというものです。そのため人は昼間も電車に乗って座るとこっくり・こっくりと寝てしまう人がいます。とくに夜、帰宅時間が遅くなりアルコール分が入っていると殆どの人が昼間の仕事の疲れも加わり爆睡してしまいます。その結果、自分が降りる駅も夢のなか、終点について乗務員の起こされるまで気が付かない人が沢山います。

 わたしもずっと昔に同じことを聞いたことがありましたが、それは自動車やトラックのドライバーが運転中に起こす発作「ナルコレプシー」(narcolepsy)によるものです。

 それは単なる前方不注意だけでなく、生理学的な現象であることを知るのも大切で、体調の勝れない時や、疲労した時には、車に乗らないように習慣づける。また高齢者ドライバーの事故が多いのも、生理学的に注意力や、運動反射神経が鈍くなるので、高速道路の逆走が起こらない様、ドライバー・ライセンスの最高年齢を決めてはどうでしょうか。

 

 

《こ》 自主自戒のことば~その(22)
「  おごるな(don’t be extravagant)  」

     2022年10月29日の毎日新聞朝刊「余禄」に「先生と呼ばれるほどの馬鹿でなし」という言葉が登場しました。わたしが昔から耳にした言葉ですが、選挙に当選した途端自分は偉くなったと勘違いしている人がいます。既に大阪府は府会議員を「先生」から「さん」に呼び方をかえました。良いことだと思います。国会でも呼び方を変えようという動きがありますが、それが実行されるのは何時になるでしょうか。

 わたしは医師ですが、大学を卒業した途端に「先生」と呼ばれました。そして製薬会社のディテールマンから「先生のご専門は何ですか?」と質問されたり、製薬会社主催の研究会で、若い医師も過分な応対を受けることが当然だと思い、若い臨床医をスポイルする恐れがありました。

 基礎医学分野で研究をしている友人に聞くと、彼らは全くそのような経験が無いと話していました。卒後数年、留学期間も含めて、わたしは何も知らない青年だったと思います。従来、各大学では新薬開発や、臨床治験の各段階(3相:小規模治験から4相:大規模治験)に対し、製薬会社から多額の寄付を受けた時代が終わり、最近では学会でも研究結果を発表する際に、最初のスライドに「利益相反」(COI=conflict of interest)を表記することが義務付けられました。当然だと思います。

 医学や化学、文学、芸術の分野でも優れた方々を「先生」と呼ぶのは自然発生的なものです。

「奢らず謙虚であれ」(その6)と思っています。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

 

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