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iPaxの可能性について

メディカル・エッセイ

iPaxの可能性について

   ― iPax (Inspection, Palpation,& Auscultation Examination) の将来像 ―

  ジェックス理事長 髙階經和

「医療面接の重要性」

  ベッドサイドで患者を診察する上で、20世紀の初頭から先人たちが力を入れた「ベッドサイド診察法」とは、(1)医療面接、(2)視診、(3)触診、そして(4)聴診という、将来、医師を目指すものにとっては、欠かすことの出来ない診察手技でシステムでした。

 これを「ベッドサイドにおける3つの言葉」1)という人体が発する言葉という視点から見ると(1) 日常語、(2)身体語、そして(3)臓器語という(Three Languages in Clinical Practice)となります。「日常語」による主訴や症状などの訓練は、アメリカでは既に俳優などを「模擬患者」として医療面接の実習が行われてきましたが、実際に俳優が演じる「模擬患者」は迫力があり、臨床経験のあるレジデントでさえ「模擬患者」(Patient Simulator) の言葉を信じ、正しい臨床診断を下しました。しかし、症状の表現がオーバーな面があり、時には失敗もありました。日本でも「模擬患者」を育成しようとした時期がありましたが、病気に対する知識と訓練を必要としたため一般化しませんでした。

 皆さんご存知の通り、現在はAIが幅を利かせる時代になり、私はAIを医学教育に活用できると考えています。「世界の医学教育には、患者の数だけの物語がある」と既に多くの先輩たちが指摘しています。もし「私がAIをどう活用するか?」という質問をうけたとすれば、私は迷わずその国で最も人気があり、高感度の「男優」や「女優」たちの中から代表的な俳優の顔をアニメ化して、この「AI疑似患者」に対して様々な質問に対して答えてもらうのが、一番効果的だと考えます。詳細な患者に対する医療面接の仕方「医療面接法」については、『心臓病患者の診察ガイドブック』2) (日英対訳:インターメディカ社)を参照してください。そうすれば、医師になろうという人たちや、ナースの方々が、自分もVRの世界で活躍できる疑似体験が出来ると思っているのですが、どうでしょう。 

 医学書出版業界もいまや読者たちの読書ばなれが取り沙汰されています。理由としては、VTRや面白いコミックを取り入れた基礎知識の入門書などに人気が集中すると聞きます。そしていまや、PCやスマホを使い熟す世代の人たちにとっては、イラストだけの解説による従来の教科書は、目指す専門分野のガイドブックとしては、古びたものとしか感じないでしょう。果たして私が提案する「アニメ俳優による医療面接法」の効果がみられるかはこれからの問題です。「身体語」「臓器語」に関して、特に心臓病患者のシミュレーション教育法は、既にご存知のテレメディカ社3)との協力で殆ど出来上がっています。コロナ禍の今だからこそ、この考え方を皆さんに披露したいとおもっています。

 さらに自己研修が可能となる「パーソナル・コンピュータ」(personal computer)として皆さん、お馴染みの「聴くゾウ」や「オースカレイド」が作り出したiPax が頑張って時空を超えた魅力を更に広げていくことでしょう。私は「教育法には終わりがない」ことを何時も念頭に置き、教育プログラムの作成に無限の可能性を期待する次第です。

参考文献:

1.髙階經和:臨床における3つの言葉、日本臨床心臓病学教育研究会誌、1983. Vol1, No.1

2.髙階經和:心臓病患者の診察ガイドブック、インターメディカ社、2008.28~50.

3.藤木清志:聴診識別訓練器及び聴診音識別訓練システム」(特許6328223:2019)

 

iPaxについてはこちらをご覧ください。

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