日本語訳 監修 木下佳代子 ジェックス参与
現在流行中のコロナウイルス感染(COVID-19)対策を考える上で緩和ケアの果たす役割があるのでしょうか?今回の流行は全世界規模のパンデミックであり、誰も免疫力を持っていないため我々全員に感染の可能性があり、特に高齢者は重大な危険にさらされています。この状態がいつまで続くのか分からないですが既に多くの方が亡くなっています。私たちの医療体制に重大な影響が及んでいます。そうした中で、世界中の医療チームは全力を尽くしています。
山本尚子博士*、日本の厚生労働省にて30年以上に亘り保険衛生部門に従事、国際保健担当審議官を務める、は、2018年10月に次のように語っています:
[*訳者注:2018年10月よりWHO(世界保健機関)事務局長補に就任]
「現在の人道上の緊急危機に対処するにあたり救命に焦点が当たることは、当然なことでありますが、倫理上、医療上の理由で痛みの予防と緩和が身体的、心理的症状、社会的、精神的なストレス等に対しても必要不可欠であります。人道主義、公平の原則として全ての患者は、いかなる理由、例え死期が近づいている場合といえども、見捨てられることはあってはならない」と緩和ケアと症状緩和を人道上の緊急危機対応指針に統合した「WHO指針」の前文にそのように語っています。
そうです、パンデミック状態のときでも緩和ケアにはその果たすべき役割があるのです。緩和ケア実践者*は、毎日のように死に直面し対応しています。パンデミックの状況下で多くの人が亡くなるような時、またその家族や地域全体が援助を必要としている時、緩和ケアは、他のほとんどの方法に比較してより適切に対処できるのです。(参照:Insight, 2020年3月号、ウィル・ケアンズとミーラ・アガー著) *注:緩和ケアプラクティショナー
今月号のジュリーズコーナーの目的は、パンデミック時に緩和ケアを提供することのメリットや、それが患者やその家族にとって有意義な価値を与えてくれることについて再確認するためです。そして、私たちがこのようなシナリオの中でより役に立つ緩和ケア実践者たちの人材を揃えることを考えることを奨励するためです。
参考になる資料を下記します:
- ・ 緩和ケア、症状緩和を人道上緊急・危機への対応に統一する:WHO 指針2018
https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/274565/9789241514460-eng.pdf - ・WHO コロナウイルス病状告
- https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus2019/situation-reports
- ・WHO COVID-19 対応について:コロナウイルス病大流行に対して即時トレーニング
https://openwho.org/channels/covid-19
いつものことですが、あなたが特に興味ある分野で追加の情報をご希望の場合、次のアドレスjulie@palliativeeducation.com までメールにて連絡くだされば、必ず、次号にて取り上げます。日本語でも結構です。皆様方から緩和ケアについての思い、経験について教えていただきたいです。
お互いに学び合えることがあると思っています。
世界中、コロナウイルス感染パンデミックで困難な時ですが、安全に気を付けてお過ごしください。
ごきげんよう、ジュリー
Disclaimer: March 2020 免責条項:
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