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心電図データベース

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症例98 突然の胸部痛を訴え来院した 78歳男性

男性/78歳

問題

78歳、男性。2016年2月28日に突然胸痛を覚え、我慢していたが治まらず、2日後の3月2日に当クリニックを受診した。

(出題者)元髙階国際クリニック院長
公益社団法人臨床心臓病学教育研究会 理事長 髙階經和

 

心電図1

解答と解説

臨床経過:78歳の男性。自営業。2016年2月28日の夕方より、急に胸の中心部が痛くなり持続した。
翌日、辛抱していたが治まらないため、2016年3月2日早朝、当クリニックを受診した。
 受診時は多少、痛みも少なくなったと話していたが、血圧:110/55mmHg、心拍数:60回/分(整)、聴診所見としてS4を前胸部に聴取したが、心外摩擦雑音も聴取できなった。
そのため、鑑別診断として①胸膜炎の疑い、②肺氣腫の疑い、③胸腺腫の疑い、④早期再分極症候群の疑い、⑤心膜炎の疑い、および⑥急性冠症候群などの疑により、淀川キリスト教病院に緊急入院した。
 心エコー図検査、胸部CTでは、肺氣腫性変化と偶発的に胸腺腫を認めた。
血液一般検査および化学検査は全て正常値を示した。
入院中の心電図変化は2016年3月7日には、全く正常となり退院した。  初診時の心電図所見で、V3~V4における著るしいST部分の上昇は、限局的に心外膜部位の傷害を起こしたためと考えられる。
約1週間で正常心電図に復帰した珍しい症例である。
 (心電図の経時的変化を下記に示す。)
 

【心電図①】

心電図1

【心電図②】

心電図2

【心電図③】

心電図3

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