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心電図データベース

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症例71 起床時の疲労感を主訴に来院

女性/52歳

問題

52歳女性、家庭の主婦、朝の起床時の疲労感を主訴に来院。
14年前、出産後に高血圧と低K血症を指摘されたことがある。
現在、自宅近くの診療所よりアムロジピン5mgとスローKの処方を受けている。
来院時の身体所見は、身長152cm、体重46kg、血圧160/100mmHg、脈拍60/分、整、高血圧眼底(H2S2)を認める。
その他、身体所見に特記すべき所見なし。来院時の心電図を提示する。

(出題者)公益社団法人臨床心臓病学教育研究会 会長
社会医療法人仙養会北摂総合病院 理事長 木野昌也

 

52歳 女性 心電図

解答と解説

解答:
低カリウム血症(原発性アルドステロン症)、左室肥大(高血圧性心疾患)
 
解説:
心電図は正常洞調律、左室の高電位とST-T変化を認める。高血圧に伴う左室肥大の所見である。
この心電図で特徴的なのは、胸部誘導(V2-5)における巨大なU波(矢印)である。これは低K血症に特徴的な所見である。

 

来院時の心電図

心電図2 血清カリウム濃度指標

[解説]
 事実、心電図記録時に採血した血液検査で著明な低K血症を認めた。Na 145 mEq/L、K 1.9mEq/L、血清レニン活性 0.1 ng/ml/hr1(正常 0.5~2.0)、アルドステロン 385 pg/ml(正常 38~307)
 
血清アルドステロン値が高く、血清レニン活性が抑制されていることから原発性アルドステロン症を考え、副腎MRI検査を施行。ガドリニウムを使用した造影MRI検査では、右副腎由来と思われる12x8mmの腫瘍を認めた(矢印)。 Dynamic studyにて造影早期(A)で濃染され、後期(B)にwash outされる腫瘍が認められた。原発性アルドステロン症の疑いにて大阪医科大学病院泌尿器科に転院。後日、画像(C)通りの右副腎腫瘍を認め、腹腔鏡下右副腎腫瘍摘除術を施行。adrenal cortical adenoma compatible with primary aldosteronismと診断された。術後、血清K値は4.0と正常化し、血圧も正常化している。
 

MRI画像

MRI画像 右副腎腫瘍

MRI画像 右副腎腫瘍

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