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症例49 意識レベル低下にて救急搬送

女性/74歳

問題

1月某日意識レベル低下にて救急搬送となった。生来心疾患を指摘されたことはない。
来院時Vitalは意識レベル:III-300、血圧:102/67mmHg、体温:28.0℃、脈拍:30bpm。
以下に来院時心電図を示す。

(出題者)近畿大学医学部 循環器内科  小竹康仁

 

心電図

心電図

解答と解説

解答および解説:
 本症例は1月某日夜間に家族が意識レベル低下に気付き救急コールされ、当センターに搬送となった症例である。来院時明らかな神経学的異常所見は認めず、採血データにおいても低血糖や電解質異常、代謝異常、その他意識障害を来たす原因となるような所見は認めなかった。頭部CTにても明らかな頭蓋内病変は指摘されなかった。深部体温28.0℃と著明な低体温を認めており、低体温に伴う意識レベル低下と考えられた。
 当院搬送後ブランケット・加温した輸液投与による復温が開始された。復温に伴い意識レベルもⅠ群へ改善した。以下に復温に伴う心電図変化を示す。
 

12誘導心電図の経時的変化 J波高、QRS幅の変化

 

低体温症は、中心体温が35℃以下になった状態をいい、QRS終末部ないしは拡張早期に著明なJ波(Osborn波、Hypothermic hump)の出現がみられる。その機序としては、低体温症では心筋細胞において心外膜にその密度が高いとされる一過性外向き電流の亢進や主要な各種イオンチャネル動態の変化によって説明されている。
低体温症ではその他洞性徐脈、房室接合部調律、QT延長、心室細動などを示すことがある。
 
参考文献
1) Gan-Xin Yan, Charles Antzelevitch: Cellular Basis for the Electrocardiographic J Wave, Circulation93: 372-379, 1996
2) Gan-Xin Yan, Charles Antzelevitch: J wave syndrome, Heart rhythm2010 April; 7(4): 549-558
3) 鎌倉史朗; Brugada症候群

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