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心電図データベース

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症例28 呼吸苦、咳にて来院

男性/48歳

問題

心電図

心電図

解答と解説

P波が四肢誘導 I, aVLで陰転。II, III, aVFでP波高2.5mmと増高し肺性P波の所見である。
V1でP波後半部が陰転し陰性部分の面積が 1㎠を越えており左房負荷もみられる。
QRS complexもI, aVLでQS patternとなっており、胸部誘導ではV1からV6にかけてR波が減高している。
右胸心の所見である。右側胸部誘導で取り直した心電図を図2に示す。
 

図2 心電図(右側胸部誘導)

右側胸部誘導で記録した心電図

 

V1からV6にかけてR波が増高している。
本症例はKartagener症候群(不動繊毛症候群;Immotile cilia syndrome)の症例である。
Kartagener症候群は、気管支拡張症に内蔵逆位、慢性副鼻腔炎を合併した常染色体劣性遺伝病であり、
ダイニンの合成不可により繊毛の運動性喪失が原因となる。気道の繊毛運動不全により慢性的な気道感染をきたし、気管支拡張症に発展する。
図3が本症例の胸部レントゲン写真である。心電図の肺性P波は広範囲の気管支拡張症からの肺高血圧症によるものと考えられる。
 

図3 胸部レントゲン写真

図3 胸部レントゲン写真

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