ECG database

心電図データベース

心電図データベース

症例25 健康診断で心肥大を指摘

男性/79歳

問題

79歳のタクシー運転手。1985年10月、保健所の健康診断で心電図検査の結果、心肥大がある事を指摘された。
翌年、会社の産業医を受診し、心筋障害があるので日常生活に気をつけるようにとアドバイスを受けた。
趣味は近くの山登りで特に坂道での息切れなどはないが、時々、胸がチクチクするという訴えがあった。
1986年、当クリニックを受診。聴診により第3肋間、胸骨左縁に軽度の収縮早期駆出性雑音(II/VI度)が聴取された。
心電図の胸部誘導でV3からV6にかけてT波の陰性化が認められた。
2006年3月23日、軽度意識障害・歩行困難が出現し、 Y病院を受診した。頭部CT検査の結果、右側慢性硬膜下血腫を認め直ちに入院し、同日、穿頭血腫除去術を行い症状は軽快し、 3月31日退院した。その後の経過は順調である。
 現在、テノーミン(50)2錠、ペルサンチン(25) 2錠、ノルバスク(5) 2錠服用中である。心電図所見は初診以来、殆ど変化がなく、血液化学検査では総コレステロール値:234mg/dl、LDLコレステロール:154mg/dlの他、異常は認められない。

(出題者)元髙階国際クリニック院長
公益社団法人臨床心臓病学教育研究会 理事長 髙階經和

 

心電図

心電図

解答と解説

【解答】
 肥大型心筋症
 心エコー図では心室中隔肥厚(20mm)、と左室拡大(50mm)を認める。
 
【解説】
 心エコー上図は拡張期(僧帽弁開放)、下図は収縮(僧帽弁閉鎖)を示しているが、
上図・下図共に心室中隔 (IVS) は20mmと肥厚していることがわかる。
 患者は殆ど毎週末トレッキングを行っているが、自覚症状は見られない。
過度の運動は適切ではないことをアドバイスしているが、最初に心電図異常を指摘されてから20年以上経過しているが、数年の心エコー図にも殆ど変化は見られない。
 

心エコー図

心電図 右脚ブロック 心電図 右脚ブロック

一覧へ戻る
上にスクロール