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心電図データベース

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症例114 長年無症状に経過した 87歳男性

男性/87歳

問題

症例呈示
現在87歳の男性、元個人タクシー運転手。55歳の時、会社の健康診断で心電図検査による心臓肥大を指摘された。胸部単純撮影では、軽度の心陰影拡大が見られたが、両肺野には異常所見はない。日常生活で特に自覚症状はないが、何となく胸が重いときがある。1976年5月9日に当クリニックを受診したが、その時に記録された心電図と、40年以上経過した現在も変わっていない

(出題者)元髙階国際クリニック 院長 

公益社団法人臨床心臓病学教育研究会 理事長 髙階經和

 

心電図①

解答

臨床経過
身体所見:身長160cm,体重:56Kg、外観は筋肉質の体格で診察時には呼吸困難は見られなかった。頸静脈、胸部における視診では異常も見られず、触診ではスリルも触れなかった。血圧は170/100mmHgであり、聴診により心尖部の収縮期駆出性雑音を聴取した。長年の高血圧による「高血圧性肥大型心筋症」を起こしている可能性が考えられた。
更に心エコー検査により、明らかに心室中隔上部から心尖部にかけて心室中隔の径は(20mm)である。本人は他の医療機関で心臓カテーテル検査を勧められたが辞退した。毎日10kmのマラソンを欠かしたことがない。現在は自覚症状もないが、年齢的に以前のようなスピードで走れなくなったと話している。

 

問題点
本症例は、私が40年以上に亘って定期的に診療してきたが、高圧薬(ノルバスク5mg)を毎日2錠と、ペルサンチン(25mg) 2錠の服用と、毎日の運動が本人には血行動態的に大きな負荷になっておらず、血圧も120/70mmHgと安定しているところから、果たしてこういった症例に対しても運動制限などが必要かどうか、今後も観察を続ける予定である。

 

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