ベッドサイドの診察法

(iii) 聴診における種々の体位

すでに僧帽弁部位の聴診や、聴診における種々の体位でも述べたが、まずI音とII音の大きさを比較した後、I音の前に小さな“u”と言うようなIV音が聴こえるかどうかを知る必要がある。

中高年では健常者でも約50%にIV音を聴く。これは心筋の伸展性(compliance)が低下しているためである。病的状態では「高血圧」「虚血性心疾患」「肥大型心筋症」などで聴くことができる。

「僧帽弁狭窄」では特徴的な全収縮期雑音に続き、大きなI音を聴く。
そして開放音と拡張中期のランブリング雑音がはっきりと聴こえる。

また「高血圧性心疾患」「僧帽弁閉鎖不全」「大動脈弁閉鎖不全」や「拡張型心筋症」など左室が肥大あるいは拡張のある場合は、心尖拍動は左下方に変移する。この場合も心雑音の他にIV音、I音、II音そしてIII音などの有無や、時には「心膜摩擦音」も聴くことができる。

心臓病患者の聴診とはあらゆる体位で患者を診察することであり、まず「I音」から聴き、つぎに「II音」を聴き、「III音」「IV音」を確かめ、そして心雑音が収縮期あるいは拡張期に聴かれるかどうか、そしてその性質などを把握することができれば十分診断に到達することができる