NEWS

ニュース

髙階理事長エッセイ「One thing at a time」【第16回】

 

 

【第16回】

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                          

 

《り》 自主自戒のことば~その(29)

 「 DIYを楽しめ(enjoy “do it yourself”)」

 わたしの趣味の1つは木彫りで様々なものを創りだすことです。2004年から12年間かかって制作した聴診器チェストピースですが、何度も失敗を重ねた結果、遂に2016年、日本の聴診器メーカーK社から開発されたのが「可伸展型ダイアフラム聴診器」(TSphonette)でした。

 嘗て本田宗一郎氏が「人間にとって大事なことは、学歴とかそんなものではない。他人から愛され、協力してもらえるような徳を積むことではないだろうか。そして、そういう人間を育てようとする精神なのではないだろうか」と言っています。
 失敗を恐れず挑戦し続けた本田宗一郎氏が「世界のホンダ」とそて知られる様になったのは、人間として徳を積み、そして後輩を育てる気持ちを持ち続けていたことだと思います。
 彼はわたしが尊敬する人物の一人です。皆様も専門分野に限らず、広い視野を持ち、身の回りのいろんなことに挑戦して下さい。DIY精神はそこにあります。何でも自分でやるという気持ちが大切です。

 

 「鶴は千年、カメは万年」と言われていますが、

わたしは面白いと考え写真を参考にしながら、硬質材から2か月かかり、全長:18cm、両ひれ先端:22㎝、高さ:4cmの海亀ができました。
 一番苦労したのは眼玉でした。皆様、わたしがどうやって眼玉を作ったのか、当てて頂ければ幸いです。

 

 

 

《な》 自主自戒のことば~その(30)

 「 他人の話を聞こう(Listen to others) 」

 人の話もろくに聞かないで、勝手に自分の思ったことをやっている人が一杯います。この現象は全ての分野に見られ、思慮に欠けると思います。
  

 「ウイリアム・オスラー」(William Osler:1849~1919))は、カナダ生まれの内科医ですが、マギル大学、ペンシルベニア大学、ジョンズ・ホプキンス大学、オックスフォード大学の教授を務め、カナダ、米国、英国の医学の発展に多大な貢献をし、今日の医学教育の基礎を築いた医聖であることは言うまでもありません。また、医学教育にも熱意を傾け、今日の医学教育の基礎を築きました。そのオスラーが残した数々の語録の中に

 「本を読まずして医学を学ぶことは 海図を持たずして航海に出るに等しく、患者を診ずして医学を学ぼうとするは 全く航海に出ないに等しい」

 「患者さんの話に耳を傾けよ、彼等は診断を教えてくれる」という言葉があります。

 故日野原重明先生が7年がかりで訳された「平静の心」(医学書院)の中で繰り返し述べられているベッドサイド教育の重要性は全ての分野に共通した教えです。教科書やガイドブックも読まないで機械を操作したりすれば、必ず失敗します。物事は順序を踏み、ステップワイズに進むことが大切です。

 如何に時代が変わろうとも変わってはならないものは現場を知り、そして学ぶという姿勢です。それが実践哲学という事になるのです。机上の空論を議論するよりも地に足の着いた理論に優るものはありません。

次回に続く

前回に戻る

上にスクロール