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髙階理事長エッセイ「One thing at a time」【第14回】

 

 

【第14回】

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                          

《い》 自主自戒のことば~その (25)
 「  オオワシに愛情を( love to an eagle)  」

  2022年11月2日の毎日新聞朝刊の記事に興味を持ちました。「おばあちゃん奇跡を起こして」という見出しでしたが、1羽のオオワシが、25年前から毎年秋になると琵琶湖北部の長浜市に渡来し、越冬するようになりました。両翼を広げると2.5メートルになる猛禽類の鳥です。

  棲息地はロシア・オホーツク海海岸ですが、3,000キロの空を飛び、北海道にやってきます。更に1羽だけ800キロの空を飛び、南下し琵琶湖に飛んでくるのです。性格は大人しく人間の子供、ペットや家畜を襲ったりしないので、国の天然記念物に指定されている雌のオオワシです。地元の人が、彼女が越冬する長浜市の山の名にちなんで「山本山のおばあちゃん」という呼び名で親しまれているとのことです。

 数年前の夏、北海道に旅しましたが、釧路湿原へ向かう途中のバスの中から電信柱の天辺にいる大きな鳥を目撃しました。運転手に聞いて見ると「ああ、オオワシですよ」と事も無げに返事が返ってきました。

 バード・ウオッチングをしている方々にとっては垂涎の的です。動物たちに関する話はドラマに満ちています。前回(その(24)にも登場したカナダの女性生物科学研究家「アン・ダッグ」がキリンの研究に没頭した様に、日本の愛好家たちも「山本山のおばあちゃん」が今年も琵琶湖に渡来し、冬の風物詩として奇跡を起こし、何時までも人々に愛される元気な姿を観察して頂きたいものだと思います。

 

 

《ま》 自主自戒のことば~その(26) 
 「  指先の拍動 (pulsation of a fingertip)  」

 自分の脈拍を触れるには、手首にある橈骨動脈の拍動を触れることで知ることが出来ます。昔は「患者さんの脈をとる」という言葉は医師が患者を診察することの代名詞になってなっていました。

 ところが現在はどうでしょう。病院の廊下や、待合室に置かれた自動血圧計で測定し、プリントアウトされた結果をもって診察時に医師に渡す始末。聴診はおろか脈拍さえ触れない。重要な「身体語」を飛ばしています。

 確かに便利になりましたが、医師がベッドサイドで患者さんを診る過程が抜けているようです。指先で測定できる血圧計も上腕で測定するものと変わらないと考えておられますか?残念ながら答えは「ノー」です。指先の末梢血管部分では血流速度は速くなっていますが、毛細管という微小血管の直径は50µm以下です。指先血圧計は血管壁を伝わる振動を電気信号に変えることで血圧を測定できる様にしたのです。

 1960年代には既に「体積変動測定装置」(plethysmography)が開発され、末梢毛細管の容積や血流速度を測定し診断に役立てていました。

 では末梢を流れる血流を自分で感じる方法を披露しましょう。椅子に座ってリラックスし、左右の両手の指先を付けて見ましょう。瞑想し暫くすると、「ーザ」を脈拍の2倍の速度で流れる血流を感じ取ることが出きます。それは不思議な感覚ですが、自律神経と副交感神経のバランスが取れ、毛細管血流を自分で感じるのです。是非、お試しください。

 

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