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髙階理事長エッセイ「One thing at a time」【第9回】

 

 

【第9回】

 

 

《は》    自主、自戒のことば~その(15)

    「 わたしの親友(my best friends) 」

     2022年10月16日(日)の朝刊一面の写真を見てオヤッと思いました。新型コロナ感染症対策分科会会長の尾身茂さんの写真です。よく見ると、左側がご本人で、右方は鏡に映った姿です。人物を撮るには珍しいカメラアングルです。

その時、ふと親友だったアメリカ人の双子の兄弟のことを思いだしました。

     1954年、わたしは大阪府堺市にあった米国陸軍病院にインターンとして勤務した時、情報将校の「チャーリー・ペンダグラフト中尉」に出会いました。彼は人柄も良くインターンのわたし達に色んな質問をしてきました。やがて彼は流暢な日本語を話すようになり、無二の親友となりました。

     1958年夏、ニューオーリンズのアパートに着いた翌日、ドアをのノックする人がいました。ドアを開けて驚いたのはチャーリーに瓜二つ双子の弟「トム」でした。チャーリーは温厚な性格でしたが、彼の観察眼は鋭くいつも筋の通った明快な話し方に感心させられました。二人の親友は悲運にも15年前、心不全のため相次いで帰らぬ人となりました

 

 

《な》 自主、自戒のことば~その(16)

 「 より正直に(be more honest) 」

     毎週日曜日、毎日新聞朝刊にジャーナリストの池上彰さんがいま話題の人物と対談した内容を「これ、聞いて良いですか」という見出しで紹介しています。10月16日に登場したのが、尾身茂さんでした。

 池上「最近余りテレビではお見掛けしなくなりました」。尾身「ことしの4月から民間の財団法人結核予防会に移ったので、国会には呼ばれなくなりました。もう一つの理由は新型コロナ対策分科会後には記者会見をしていましたが、しかし4月以降ほとんど分科会がなかったため、記者会見の機会が無くなりました」。池上「それは政府の都合ですか?」。尾身「理由は政府に聞いてください。わたしには分かりません。(中略)」「それから、政府と我々が相談していないのに『相談した』と言われたパターンもありました。これには多くの専門家が不満でした」。池上「えーっ」。(以下略)

 問題はここにあります。政府の方たちは何のため専門家を呼び、意見をきくのでしょうか。政府は官僚が準備した内容について一応専門家を呼び、議論するパターンは昔から変わりません。政治家は素人に過ぎず、殆どの場合、官僚が作った原稿を読んでいるだけだと思います。国会中継でも議論は原稿通りに進まないと時間通りにはいかないからでしょう。国会が終わると自分が何を話したか覚えている人は稀です。政府とは国民を代表して国策を決める人々である筈です。コロナの問題に限らず、もっと正直に議論してもらいたいと感じました。

 

次回に続く

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