症例8 労作時呼吸困難、動悸、易疲労感 女性 56歳 2008.6

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症例8

労作時呼吸困難、動悸、易疲労感

女性 56歳 2008年6月掲載分

解答・解説

症例8の解答と解説

心電図の所見は、前額面QRS軸が+120度と右軸偏位がみられ、右側胸部誘導(V1,2)でR波が増高し、右室ストレインパターンとしてV1-3誘導に陰性T波がみられる。右室肥大の所見である。また、胸部誘導V3-6にかけてR波の減高がみられる。

図1 断層心エコー図

画像:断層心エコー図
断層心エコー図(図1)では、右室が拡大し右室自由壁の肥厚がみられ、心室中隔は左室側に圧排されている。
また、カラードプラ図にて高度の肺動脈弁逆流がみられた。

 

図2 三次元再構成MRアンジオグラフィー

画像:三次元再構成MRアンジオグラフィー
三次元再構成MRアンジオグラフィー(図2)では、肺動脈主幹部および中枢部は著明に拡大しているが、肺動脈末梢部は正常ないし狭小化しており、肺静脈径は正常であった。右心カテーテル検査では、肺動脈圧 69/26mmHg, 平均肺動脈圧 45mmHg, 肺血管抵抗 889dynes/cm5/m2と肺高血圧症の所見であった。肝硬変症などの門脈圧亢進を示す病態の中に高度の肺高血圧症をきたすものがあり、門脈・肺高血圧症(Portopulmonary hypertension)とよばれている。特発性肺動脈性肺高血圧症(Idiopathic pulmonary arterial hypertension; IPAH)と同様の病態を示すが、肺高血圧症の進行はIPAHより緩徐で予後もIPAHよりは良好である。
本症例は在宅酸素療法と肝硬変症の治療でフォロー中である。

小糸仁史(ジェックス理事)

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C型慢性肝炎から肝硬変症をきたし肝性脳症で入院歴がある56歳、女性の心電図である。
最近、労作時呼吸困難、動悸、易疲労感をきたすようになった。聴診上、心音でII音肺動脈成分が亢進し胸骨左縁第2肋間に高調な
逆流性拡張期雑音(Levine 3/VI)を聴取する。

 

出題:小糸仁史(ジェックス理事・関西医科大学附属男山病院内科部長)

 

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