症例67 左橈骨遠位端骨折の修復術施行後、冷汗を伴う左胸部痛 女性 69歳 2013.6

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症例67

左橈骨遠位端骨折の修復術施行後、冷汗を伴う左胸部痛

女性 69歳 2013年6月掲載分

解答・解説

症例67の解答と解説

解答:
急性冠症候群
 
解説:
 これまで全く自覚症状のない人に左胸部痛が出現しています。吸気時に増強するという記載があり、非定型的ではありますが、まず急性冠症候群を考えます。冷汗と嘔吐という全身症状を伴っており、手術後の痛みや不安感だけでは説明できません。鑑別診断としては急性肺血栓塞栓症ですが、SpO2が正常であることから否定的です。緊急で施行した心エコー検査でも右室負荷の所見はみられませんでした。 心電図の所見は、Ⅰ、aVL、V4-6でT波の逆転、ないし平低化を認めます。術前にとられた心電図を示します。術前の心電図と比較すると、問題の心電図異常は新しく起きた変化であることが分かります。この所見からは、左室高位側壁、左室前壁から側壁にかけて心筋虚血がおこっている可能性があります。

術前心電図(拡大版はこちらをクリック)

術前心電図
D-ダイマーが軽度増加、白血球数、CRPの増加、LDL-Cの増加、随時高血糖を認めます。
急性冠症候群の診断で緊急冠動脈造影検査が施行されました。右冠動脈に異常はありません。

冠動脈造影図(拡大版はこちらをクリック)

冠動脈造影
しかし、左冠動脈造影で、第一対角枝#9に90%、左冠動脈回旋枝鈍角枝#12に99%狭窄を認めました。

左冠動脈造影図(拡大版はこちらをクリック)

左冠動脈造影
緊急冠動脈形成術(PCI)が行われ、同部位2箇所にステントが留置されました。

緊急冠動脈形成術(PCI)後の画像(拡大版はこちらをクリック)

PCI後の画像
患者さんの症状は急速に改善、処置が終了し病室に帰室されました。 心電図の経過をみると、
変化は明らかですが、その後、心筋逸脱酵素の上昇もなく心筋梗塞は回避できたと考えています。
患者さんには、冠動脈危険因子が重積しており、今後注意深い管理が必要です。

心電図の経過(拡大版はこちらをクリック)

心電図の経過

出題:木野昌也(ジェックス会長・北摂総合病院院長)

 

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出題:木野昌也(ジェックス会長・北摂総合病院院長)

 

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