症例58 健康診断で精密検査を指示され受診 男性 23歳 2012.9

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症例58

健康診断で精密検査を指示され受診

男性 23歳 2012年9月掲載分

解答・解説

症例58の解答と解説

過去歴:
生来健康であり、幼児期より心疾患などの指摘を受けた事もない。
小学校、中学校、高等学校、専門学校での入学に際して循環器系の異常を指摘されたこともない。

 
診察結果:
身長175cm, 体重57kgの痩せ形である。
視診により胸郭の中央部ややや陥凹しており、軽度の漏斗胸であることが分かった。触診によりスリルも触知できず、心尖拍動がやや内側に偏位している。
聴診上、肺動脈部位に呼吸性II音分裂を聴取できる以外に異常所見は認められなかった。

 
心電図判定:所見は
1. 心拍数:78/分
2. PR間隔:0.16秒
3. QRS群:第I誘導におけるR/S比が1.0であり、立位心であることが分かる。
4. R・S波の移行帯はV4~V5の間にある。
5. ST部分:正常であり、虚血を思わせる所見はない。
6. T波:胸部誘導のV1~V6まですべて陽性である。

 
精密検査の依頼項目に「V1~V3のQSパターンは前壁心筋梗塞の疑いあり」と記されていたが、この所見は軽度の漏斗胸により、心臓の縦隔洞内での位置が「時計軸回転」を起こしたためであると判定された (因みにV6に筋電図が見られため、2回記録を行ったが、2回共に筋電図が入っていた)。
会社や事業所での健康診断では、殆ど自動解析心電計の結果に頼っているため、直接、医師が診察を行うことがない。その結果、異常と考えられたものと思われるが、この「心電図は正常」であると判定できる。

髙階 經和(ジェックス理事長・高階国際クリニック院長)

 

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「前壁心筋梗塞の疑いあり、循環器精密検査を必要とする」との通知を受け受診。

出題:髙階 經和(ジェックス理事長・高階国際クリニック院長)

 

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