症例53 検診時に確認された心電図 1 – 男性 30歳 2 – 男性 35歳 2012.4

2. 心電図異常 > 右軸偏位、時計軸回転

症例53

検診時に確認された心電図

1 – 男性 30歳 B – 男性 35歳 2012年4月掲載分

解答・解説

症例53の解答と解説

解答:

心電図1 – 右軸偏位、洞性不整脈と時計方向回転が所見の、ほぼ正常の心電図
心電図2 – 左側高電位と反時計方向回転が所見の、ほぼ正常の心電図

 
解説:

 心電図所見を分類するMinnesota Codeがある。検査結果をもとに下した所見・診断の頻度・臨床的意義を多施設、多国籍で比較研究するためには検査方法の標準化と客観的な診断基準の確立が必要である。ミネソタ大学のHenry Blackburn博士らは1950年代から心電図の客観的診断基準の開発を行い、1968年にロンドン大学のGeoffrey Roseと共にMinnesota Codeに関する本を出版した[1]。ほとんどの循環器臨床医はその名は知っていても、利用する機会は極めて少ないであろう。Minnesota Codeでは反時計方向回転(counter clockwise rotation, Minnesota Code=9-4-1)をQRS移行帯がV3またはV3の右側にある場合;時計方向回転(clockwise rotation, Minnesota Code=9-4-2)をQRS移行帯がV4かV4の左側にある場合とする。従って正常はQRS移行帯がV3とV4の間にある場合で、V3でS優位、V4でR優位となる場合が最も頻度が高い。

 
 Einthovenが心電計を発明したのは1895年で[2]、1924年にノーベル賞を受賞した。数ある心電図所見の中には意義が未だ不明なものも残り、その中で時計方向回転、反時計方向回転については100年以上の間意義がないとされ、我々もそのように習ってきた。ところがちょっとしたきっかけでこの点について我々が解析したところ、大きな意義を発見した。時計方向回転は循環器疾患死亡リスクの上昇を、反時計方向回転はリスクの低下を予想するのであった[3]。(AbstractPDF icon)
 機序は未だ不明で、これからも研究する必要がある。目からうろこ、温故知新など色々なことばを想起した。

文献:
1.Rose GA, Blackburn H. Cardiovascular survey methods. Monogr Ser World Health Organ. 1968;56:1-188.
2.Einthoven W. Ueber die Form des menschlichen Electrocardiogramms. Arch f d Ges Physiol. 1895;60:101-123.
3.Nakamura Y, Okamura T, Higashiyama A, Watanabe M, Kadota A, Ohkubo T, Miura K, Kasagi F, Kodama K, Okayama A, Ueshima H. Prognostic Values of Clockwise and Counter-Clockwise Rotation for Cardiovascular Mortality in Japanese (24 Year Follow-up of NIPPON DATA80). Circulation. 2012 Feb 3. [Epub ahead of print]

中村 保幸(ジェックス理事・京都女子大学家政学部生活福祉学科教授)

 

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心電図1、心電図2は検診時の心電図です。どのように判定しますか。判定の根拠は何ですか。

出題:中村 保幸(ジェックス理事・京都女子大学家政学部生活福祉学科教授)

 

心電図1 – 30歳 男性(拡大版はこちらをクリック)

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心電図2 – 35歳 男性(拡大版はこちらをクリック)

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