症例5 約20年前より高血圧、高脂血症、気管支喘息で治療中 男性 81歳 2008.3

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症例5

約20年前より高血圧、高脂血症、気管支喘息で治療中

男性 81歳 2008年3月掲載分

解答・解説

症例5の解答と解説

【心電図所見】
 洞調律 HR:69bpm 軸:-16度 P-R:0.206秒 QRS:0.087秒 QTc:0.395 SV1:0.42mV RV5:1.08mV III、aVFに異常Q波があります。
(II、III、aVFの2つ以上の誘導で異常Q波や冠性T波がみられれば下壁梗塞が疑われます。)

 

【解答】
 解答としては、陳旧性心筋梗塞(下壁)でよいと考えます。しかしIII、aVFの異常Q波は、下壁梗塞でなくても、COPDの患者さんにみられる軸偏位でも観察されることもあります。

 

【解説】
 来院時に症状はないものの、リスクファクター(男性、高齢、高血圧、高脂血症)も多く、この陳旧性下壁梗塞が2日前に起こったものとは考えにくいのですが、陳旧性下壁梗塞を含む複数の冠動脈病変を持つ急性冠症候群が考えられたので、すぐに近くの心臓専門病院に r/o 急性冠症候群ということで紹介しました。
 病院でただちに施行された心エコー、採血(CPK、WBC、FABP、トロポニンTなど)では異常なく急性冠症候群は否定的でした。念のため、後日施行されたCTアンギオグラフィで冠動脈には狭窄は認められませんでした。
 その後患者さんは同じ発作がでたとのことでその病院を受診されたとのことです。ECG検査中に途中で正常洞調律に回復したが、わずかに記録された波形から判断すると発作性心房細動(PAf)または上室性頻拍(PSVT)の発作であると考えられた、との報告をいただきました。結果的にはCOPDによくみられる電気軸の偏位と不整脈の発作で急性冠症候群ではなかった可能性があります。しかし患者さんの症状から判断し、陳旧性下壁梗塞を含む複数の冠動脈病変を持つ急性冠症候群をまず考えて対処すべき症例と考えます。

加納康至(ジェックス理事)

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約20年前より高血圧、高脂血症、気管支喘息で治療中でした。特に大きなトラブルもなく順調に経過していました。
81歳の高齢ではありますが、以前の会社のOBでつくる野球チームの監督を長年にわたって務めています。
11月23日、胸部の圧迫感を感じましたが20分程度でおさまりました。11月25日、再び同じような息苦しい発作があり
ニトログリセリンを舌下しましたが1時間30分程度持続しておさまりました。 11月27日、来院してこのエピソードを
訴えられ、その時とった心電図を提示します。来院時に症状はなく、今までの2回の発作はともに安静時です。

 

出題:加納康至(ジェックス理事・加納内科院長)

 

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