症例47 動悸 男性 58歳 2011.10

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症例47

動悸

男性 58歳 2011年10月掲載分

解答・解説

症例47の解答と解説

症例は洞頻脈、II、V1、V2誘導を示す。毎分約150の頻脈で、QRS波は幅広く右脚ブロックを示しているが、
II誘導でP波ないし心房粗動のF波が認められるので、心室頻脈よりもむしろ上室性頻脈が疑われる。
なかでも特に心拍数から心房粗動の2:1伝導の可能性が高い。

図2 心電図 食道誘導とV2誘導(拡大版はこちらをクリック)

心電図 食道誘導とV2誘導
図2は同時記録した食道誘導心電図(上図)とV2誘導(下図)を示す。矢印で示すように、食道誘導で心房粗動のF波が明らかとなった。ほかに頚動脈洞を圧迫することにより心室頻脈と上室性頻脈との鑑別が可能なことがある。すなわち、心室頻脈ならば頚動脈洞脈迫によって不変であるが、心房粗動なら房室伝導が頚動脈洞圧迫による副交感神経亢進により抑制されて心室応答が減少してF波が鮮明となるし、また発作性上室性頻拍(paroxysmal supraventricular tachycardia)ならば突然正常洞調律に復したりする。ただし本症例では頚動脈洞圧迫が無効であった。

 
本症例に対し、verapamilとdigitalis静旅により心室応答をコントロールしようとしたところ、途中心房細動となり(図3)、

図3 心電図 心房細動(拡大版はこちらをクリック)

心電図 心房細動
やがて正常洞調律に復した(図4)

図4 心電図 正常洞調律(拡大版はこちらをクリック)

心電図 正常洞調律
正常洞調律に復して心拍数が低下しても完全右脚ブロックがあり、本症例はもともと完全右脚ブロックがあったことが想定される。

中村保幸(ジェックス理事・京都女子大学家政学部生活福祉学科教授)

 

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出題:中村保幸(ジェックス理事・京都女子大学家政学部生活福祉学科教授)

 

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図1 58歳 男性 心電図