症例46 労作時呼吸困難 男性 35歳 2011.9

4. 心肥大 > 左室肥大

症例46

労作時呼吸困難

男性 35歳 2011年9月掲載分

解答・解説

症例46の解答と解説

問題の心電図は洞頻脈、V1で典型的な左房負荷の所見を認め、左室の電位は高く、左室誘導(I、aVL、V5−6)でsagging型のST低下とT波の逆転を認める。典型的な圧負荷に対する左室肥大の所見である。左房負荷の存在から長期間の圧負荷と左心不全の存在が示唆される。来院時の身体所見は、血圧が高く頻脈。心臓では3音、4音がsummation gallopとして聴取されている。急性左心不全による肺水腫の状態である。胸部X線では、心陰影は拡大、左室の拡大と肺血管の再分布を認める。

胸部X線画像

画像:胸部X線
心エコー検査では、弁機能に異常なく、心嚢液の貯留はない。左房径(64mm)と左室径(60mm)は著明に拡張、左室は瀰漫性に壁運動の低下(EF=20%)。左室壁は中隔厚(18mm )、左室後壁厚(21mm)と共に肥厚しており、長年の左室圧負荷に加え、左室の収縮不全を認めることから、高血圧性心疾患に加え何らかの心筋疾患の可能性も否定できない。

心エコー画像1

画像:心エコー画像1

心エコー画像2

画像:心エコー画像2

心エコー画像3

画像:心エコー画像3

眼底検査画像

画像:眼底検査画像

眼底検査は網膜細動脈の狭細化が強く、白班、出血斑を認め重度の高血圧眼底所見を認めた。入院後、ニカルジピン注とニトログリセリン貼付剤で降圧をはかりながら、フロセミド注とHANP注にて急性心不全の治療を行った。ジギタリス剤、ループ利尿剤、β遮断薬、降圧剤(Ca拮抗薬、ARB)の内服により病態の安定後、二次性高血圧を否定。冠動脈造影検査に異常なく、心筋生検では、心筋細胞は中等度の肥大を認めるものの錯綜配列はなく、心筋症やその他の二次性心筋疾患は否定、高血圧性心疾患による心不全と診断した。入院16日に退院。
以後、循環器科外来にて治療を継続。血圧は降圧剤により正常化し、病態は改善している。ほぼ10ヶ月後の胸部X線所見、心電図所見、心エコー検査所見は改善している。心電図の経時的変化をみると、STT変化は残存するが左房負荷と左室高電位は著明に軽減しているのが分かる。

10ヶ月後の胸部x線

画像:10ヶ月後の胸部X線

10ヶ月後の心電図(拡大版はこちらをクリック)

画像:10ヶ月後の心電図

心電図の経過(拡大版はこちらをクリック)

画像:心電図の経過

心エコー画像1

画像:心エコー画像1

心エコー画像2

画像:心エコー画像2

心エコー画像3

画像:心エコー画像3

木野昌也(ジェックス会長)

 

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3週間前より起座呼吸の状態となり循環器科外来を受診した。血圧200/150mmHg、Pulse 116 regular、頚静脈怒張なく
下肢の浮腫もない。心臓でsummation gallopを聴取。両肺野に湿性ラ音を聴取する。

 

出題:木野昌也(ジェックス会長・北摂総合病院院長)

 

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心電図