症例36 動悸と労作時の呼吸困難 女性 50歳 2010.10

4. 心肥大 > 右室肥大 > ファロー四徴症

症例36

動悸と労作時の呼吸困難

女性 50歳 2010年10月掲載分

解答・解説

症例36の解答と解説

解答と解説: 
 心電図は、異所性心房調律と典型的な右室肥大である。
このような典型的な右室肥大の所見は、先天性心疾患に特徴的である。特にチアノーゼ、手指の太鼓バチ指を認めることから、ファロー四徴症、完全大血管転位症、修正大血管転位症、両大血管右室起始症、エプスタイン奇形、総肺静脈潅流異常症、三尖弁閉鎖症などが考えられる。
心エコー検査で(1)右室肥大(2)高位心室中隔欠損症(3)大動脈弁騎乗(4)右室流出路狭窄(肺動脈狭窄)を認めたことから、ファロー四徴症と診断された。
この症例は幼児期に何度も大学病院での根治手術が検討された。心臓カテーテル検査で、ファロー四徴症と動脈管開存症の合併と診断。この動脈管を通じて肺血流が十分に確保されているとの判断で内科的に経過観察してきた。カテーテル検査による診断は、最近の精細な心臓超音波検査やCT検査にて確認された。

図1: 心エコー、左室、右室短軸像、肥大し圧が高くなった右室により、心室中隔は左室側に偏位している。

図1 心エコー 左室、右室短軸像

図2: 心エコー長軸像、拡張期(左)と収縮期(右)に大動脈弁直下の高い位置に心室中隔欠損を認める。
そのため、大動脈は心室中隔に騎乗し左室と右室から血流を受ける。

図2 心エコー長軸像 拡張期-左 収縮期-右

図3: カラードップラー図。収縮期に心室中隔欠損を通じて左室と右室から大動脈に流れる乱流を認める。

図3 カラードップラー図

図4: 造影CT検査、大動脈騎乗がよく分かる。

図4 造影CT検査

図5: 造影CT検査、右室流出路狭窄による肺動脈狭窄を認める。肺動脈弁は正常のようにみえる。

図5 造影CT検査

図6: 造影CT検査、画像を連続して分析すると、動脈管が大きく拡大し大動脈―肺動脈への血流を認める。

図6 造影CT検査

図7: 造影CT検査、3D画像を構成すると、大動脈と肺動脈の間に拡張した動脈管をみることができる。

図7 造影CT検査

木野昌也(ジェックス会長・北摂総合病院院長)

 

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動悸と労作時の呼吸困難を訴えている 診察では、口唇にチアノーゼ、太鼓バチ指がある。
胸骨左縁で収縮期に手掌が持ち上がるようなRV heaveを触れる。収縮期に粗い雑音を聴取する。

出題:木野昌也(ジェックス会長・北摂総合病院院長)

 

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