★ ECG of the month ★

解答:中尾正俊(ジェックス副会長)

症例10の解答と解説

 心電図検査にて、四肢標準誘導低電位、I誘導でS波、II誘導にてQ波と逆転T波、III誘導にて逆転T波、右側胸部誘導のR波減高とV1-6誘導に逆転T波が出現しており、胸部写真では、心胸比62%と心陰影の拡大を認めた。総合病院循環器内科に紹介し、胸部CT検査にて心嚢液貯留と肺動脈の血栓による閉塞が指摘され、肺塞栓症と診断された。
 肺塞栓症とは、静脈系で形成または混入した塞栓子が肺動脈を閉塞する疾患で、臨床経過により急性と慢性とに分けられる。臨床的には深部静脈血栓症(DVT)に続発する肺血栓塞栓症の頻度が高いが、本症例では深部静脈に血栓は認めなかった。しばしば診断が困難で、治療の遅れが致死的となることもある。
症状として呼吸困難、頻呼吸(≧20/分)、胸膜痛などを示す。重症例では失神、チアノーゼ、ショックを示す。危険因子として高齢などがあげられ、血液凝固検査ではD-Dダイマー(本症例:1.86μg/mlと上昇)と増加する。
ここまで典型的な症例はむしろ珍しく、一般的には心電図だけで肺塞栓と診断するのは困難である。
参考:3ヶ月前の心電図


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